ジャンプ台から急斜面を滑り降りて空中に飛び出し、飛距離と空中姿勢の美しさ、着地の美しさを競う。ジャンプ台のサイズ(ヒルサイズ)は、L点(ランディングエリア限界点)までの飛行距離で決定。ノーマルヒル(NH)は85〜109メートル、ラージヒル(LH)が110メートル以上となっていて、今大会のジャンプ台はNHが106メートル、LHが140メートルに設定されている。
男子NH、LH、男子団体
女子NH
混合団体
とてつもない高さから滑り降り、時速90キロ前後で空高く飛び出していくスケールの大きさは、他の競技では味わえない。選手は恐怖感に打ち勝つ精神力と空中でのバランスや修正能力を要求される。1チーム4人で実施する団体は1人飛ぶごとに順位が目まぐるしく変わる。風とゲート位置を考慮した得点も2014年ソチ五輪から採用された。
スキージャンプは次の獲得ポイントを合計し、順位を決定する。①飛距離をポイント化した「飛距離点」、②美しさを採点した「飛型点」、③不利な追い風なら加点、有利な向かい風なら減点される「風ポイント」(ウインドファクター)、④スタート位置のゲートを下げたら加点、上げたら減点される「スタートゲートポイント」(ゲートファクター)-。通常は2回競技を行い、合計ポイントで争う。
着地姿勢は、両手を水平に広げ、両足を前後に開く「テレマーク姿勢」を入れることが決められており、これを入れられないと飛型点が減点される。また着地後、手をついたり、転んだりしても減点される。
▽男子個人
50位タイまでが予選を通過。本戦では30位タイまでが2回目に進める。本戦1回目までは直近のW杯ランキングの下位から。本戦2回目は1回目の成績下位から飛ぶ。
▽男子団体
1チーム4人で構成。予選はなく1回目を終えて4人の合計ポイントが上位8チームが2回目に進む。飛ぶ順番は2回目の3人目まで一緒。最後の4人目のみ、それまでの合計得点(7人分)が低い順となる。
▽女子個人
予選はなく、1回目の30位タイまでが2回目に進む。
▽混合団体
1チーム男子2人、女子2人で構成。予選はなく、競技方法は男子団体と同じ。女子→男子→女子→男子の順に飛ぶ。
スキー板の長さに関する規則は現在、身長と体重の測定表を元に算出。過度な減量による健康被害を防ぐため、体重が軽い選手はスキー板が短くなるように設定されている。幅は11センチほど、長さは身長の145%以内となっている。
「K点」本来は「これ以上飛ぶと危険」という意味合いを持つ飛距離の基準点。赤いラインで示されている。
「ヒルサイズ」踏み切り台の先端から安全に着地できる地点までの目安。最近は「極限点」の意味でも使われる。
「バッケンレコード」公式記録として残るそのジャンプ台での最長不倒距離のこと。「バッケン」とはノルウェー語で「丘」の意味。
起源はノルウェーで、英国陸軍中尉のオーレ・ライが1808年に小さな丘から9・5メートルのジャンプをしたのが始まりとされる。五輪には1924年の第1回シャモニー大会からLHが採用され、1964年インスブルック大会でNHが追加された。これまでノルウェーが金メダル11個を含む35個のメダルを獲得。フィンランドが金10個を含む22個、オーストリアが金6個を含む25個のメダルと強さを誇っている。
日本は1928年の第2回サンモリッツ大会から参加。72年札幌大会70メートル級では笠谷幸生が金、金野昭次が銀、青地清二が銅メダルと、冬季五輪史上初めて表彰台を独占。「日の丸飛行隊」と呼ばれた。98年長野大会では船木和喜がLHで金、NHで銀メダルを獲得。原田雅彦もLHで銅メダルを獲得した。2014年ソチ大会LHではベテラン葛西紀明が2位となり、7度目の出場で初の個人メダルを獲得した。
団体では94年リレハンメル大会の1回目でトップに立つも、最後の原田が失速して銀メダルに終わった。4年後の98年長野大会ではその原田の大ジャンプなどで金メダルを獲得し、雪辱を果たした。2014年ソチ大会では長野以来となる銅メダルを手にした。
女子は2014年ソチ大会から正式採用され、2018年平昌大会では高梨沙羅が銅メダルを獲得した。
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