海外に出る選択のきっかけは2021年の東京五輪だった。バレーボール男子の高橋藍(日体大)は当時19歳のチーム最年少ながら、主力アタッカーとして日本の29年ぶりの8強進出に貢献。それでも「もっと海外の選手と対等に戦えたら結果は違ったのかな」と悔しさだけが残った。
「パリに向けてもっと成長したい。世界との差を埋めたい」と選んだのが世界最高峰のイタリア1部リーグだ。大学に所属しながら21年12月、シーズン途中にパドバ入り。1人暮らしに自炊、言葉の壁など初の経験にも「挑戦する気持ちで行った」。翌シーズンは開幕から参戦し、今季で3季目となった。
練習から高いブロックと対峙(たいじ)し続け「スパイクの打ち方や攻撃のバリエーションが増えた」。シーズン中も厳しいウエートトレーニングを積む方式も合い、3季前よりも体重は約13キロ増。打球に力強さが加わり、得点能力は飛躍的に向上した。
2023~24年シーズンからプレーするモンツァのアリーナには、自身が写った大きなパネルが飾られている。練習中も流ちょうになった英語で盛り上げる。イタリアで名実ともに中心選手になったからこそ「チームを引っ張れる自信がある。大事な場面で託してもらえる選手になったと思う」と力を込める。
メダル獲得を目標とするパリ五輪は3年前の決断の答え合わせの場だ。
高橋藍(たかはし・らん)
2001年(平13)9月2日、京都市生まれ。
小学2年から兄塁(Vリーグ1部サントリー)の影響でバレーボールを始める。京都・東山高-日体大。高校3年時に春高バレーで優勝。最優秀賞を獲得。18歳で日本代表に初選出され、21年東京五輪にも出場。母方の祖父は米国人でクオーター。188センチ。
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