池江が日本新3連発!メダル逃すも進化する16歳

 16歳のスーパースイマーが、メダルまで0秒23差まで迫った。女子100メートルバタフライ決勝で池江璃花子(ルネサンス亀戸)は日本人初の56秒台となる56秒86で6位入賞を果たした。予選57秒27、準決勝57秒05に続く日本記録3連発。メダルこそ逃したが、底無しの勢いと強さをアピールした。今大会ではあと5種目に出場するが、20年東京大会金メダルの目標へ、大きなステップを踏んだ。

 猛烈な追い込みだった。186センチの長いリーチを誇る腕がフル回転する。50メートルを7位でターンすると、後半は追い上げ、最後はメダルまでタッチ差に迫った。0秒23差でメダルこそ逃したが、予選から日本記録3連発で日本人初の56秒台に突入。池江は「(満足度は)90%を超える。(悔しさより)喜びの方が大きい」と充実の笑みを浮かべた。

 生まれたときから水の中にいた。母美由紀さんは自宅の浴槽で水中出産。まさに水の申し子としてこの世に生を受けた。握ることが運動を含め発達神経に良いと聞いた母の指に生後6カ月でぶら下がった。2歳で逆上がりができた。自宅ではリビングに設置された雲梯(うんてい)にぶら下がってテレビを見たり、会話を楽しんだ。腕の力は強化され、肩甲骨の動きは軟らかくなり、現在の基礎がつくられた。

 リーチ186センチ、足のサイズ26・5センチの恵まれた体を生かした技術はもちろん、幼少期から備わる気持ちの強さも生きた。百人一首が得意で、あるとき母の爪が割れるほどの強さでカードを取った。「集中力、反射神経、負けん気はすごいものがあった」と母は言う。昔から親、コーチを困らすほど自己主張は強い。それほどの強い自分を持つからこそ、初の大舞台でも臆することはなく泳げている。

 そんな池江は小学3年のとき、指導を受けていた東京ドルフィンクラブの清水桂コーチにオリンピックのイラストを描いている。そこには自らをイメージした女の子の横に「オリンピックで優勝した」と記してあった。「断定しているところが、彼女のすごいところかもしれない」と清水コーチ。先日も日本新記録を祝福するメールに「次は世界だね」と書くと「あるかも」と返信がきた。

 この日の決勝では同じ16歳のオレクシアクが銀メダルを獲得した。4年後の東京大会の目標は金メダル。「同じ年の子が2番。その子に勝たないと金メダルは見えない。メダルは絶対にとる自信をつけて、あとは金メダルをとる精神力を備えていきたい」。残り5種目。底無しの16歳に、限りない可能性が広がる。【田口潤】

 ◆池江璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月4日、東京都生まれ。西小岩小-小岩四中-淑徳巣鴨高。昨夏の世界選手権で中学生として14年ぶりに代表入り。専門は自由形とバタフライ。五輪史上最多7種目に出場。170センチ、56キロ。

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