【ボートレース】担当記者もほれ込んだ藤原碧生「ここ数年の中の新人では怪物」
岡山支部の129期・藤原碧生(24)は、新鋭ながらもその強さが注目されている。
ボートレーサー養成所チャンプ決定戦では2着、在所勝率6・75の成績を収めていたため、デビュー前から期待されていた。
初出走は21年11月児島一般戦。新人離れしたターンを見せてくれる一節だったことを記憶している。成績は振るわなかったが、9走中4着3本を取っていたため、デビュー初1着は近いと実感できた。その予想は的中。デビュー3節目の同年12月徳山一般戦で、デビュー初勝利を手にした。
最も度肝を抜くレースを見せたのが、22年4月児島一般戦4日目のこと。5R4枠の伊藤誠二は通算2000勝が懸かった一戦だった。伊藤がカドからまくると、まくり差してきた藤原と激しい首位争いを繰り広げ、大接戦の中、節目を迎えた。伊藤がA1級、藤原はB2級だったが、A級選手並みのレースを藤原は見せていた。伊藤も「すごくうまい。上手。体重を落とせばもっと良くなる」と評したほどだった。
成長スピードは目まぐるしく、22年7月からつ一般戦でデビュー初優出(5着)。通算9カ月目だった。24年3月浜名湖のルーキーシリーズで、デビュー初優勝を飾った。通算2年5カ月目である。成績も上々でオール3連対キープで優勝戦に駒を進めた。「デビュー初優勝した時は超うれしくて、早く優勝したかったので、ほっとしました」と安堵(あんど)したことを明かした。
そんな藤原は24年後期、初A1級に昇級。腕と級別がやっと釣り合ったと言っていい。昇級できた要因を「前期はいいエンジンをいっぱい引いたし、ペラもうまく合わせられたので点数が取れました」と話す。
しかし、現状には甘んじてはいない。「レースとか調整もまだまだだなって感じです。でも、まぐれでもA1級になれたのは自信になりました」とメンタル面にいい効果があるようだ。
あらためて、強さは折り紙付きだ。レースをする上で気を付けていることについては「フライングが多いので、スタートはめちゃくちゃ集中してします。ターンとかもいろいろ変えています。まだまだうまくなれる感じはしています」と妥協は一切なく、自身のポテンシャルを引き出すことに手を緩めていない。
まだまだ成長が止まらない藤原。今後の目標については「今期A1級をキープして、トップルーキーになりたいです。あとはヤングダービーにも出たいし、地元で優勝もしたいです」とてんこ盛りだ。
とにかく強く、デビューして間もない時“藤原碧生”をどう表現したらいいか? と問われた際、当方は「ここ数年の中の新人では怪物」としか言いようがないほど、ハンドルワーク、センス、メンタルとも抜群だった。大きな舞台に立つのも、そう遠くない未来だろう。できれば当方も、地元戦の記念レースなどで彼のことを書きたいと願う。【前原一樹】