【ボートレース】初挑戦のチルト3度でG3優勝 新開航のすごさ、強心臓ぶりを再認識
すごいなあ、思わず声が出た。6月にからつで開催されたG3ウエスタンヤングの優勝戦。6枠の新開航(28=福岡)がチルト3度に跳ねて、大外まくりを決めた一戦だ。チルト3度は今やそう珍しくはない戦法だが、新開に関しては使っている印象がなかった。知らなかっただけ? いや、レース後に聞くとやっぱり。「初めて」だった。
準優は5枠で2着。優勝戦も外枠になったところで、チャレンジを決めた。「(チルト)0・5度はやっていたので、自分で調整をアレンジしていった。伸びは悪くなかったし、やる価値はあるかなと」と強烈な伸びに仕上げ、内に並んだ安河内健、定松勇樹、末永和也の地元勢を一蹴した。
仕上げも見事だったが、何より驚いたのはスタートだ。チルト3度の難しさはここにある。放ってしまえば伸びの威力は半減するし、遅れてもいけない。まして、フライングはもってのほかだ。それを「全速」で、しかもコンマ06のトップスタート。それを初挑戦のチルト3度で決めてしまうとは、何という強心臓だ。
22年は年間最多勝利選手に輝き、優勝も10度とブレークを果たした。そして昨年は11月の常滑ダイヤモンドカップでG1初制覇。順調にステップアップし、すでにルーキー世代では頭ひとつ抜けた実力がある。それでも、このウエスタンヤングが今年2度目の優勝。なかなかリズムに乗れていなかったが、「昨年とかのこの時期に比べたら、優勝のペースは遅い。ここから調子を取り戻していきたい」とこの先の活躍を誓った。
さて、気になるのはチルト3度の行方だ。新たに手に入れた武器、今後も使っていくのか?
「エンジンが良くて、一発勝負とかならありかな。引き出しは増えたと思う」。エンジンやその時の状況にもよるだろうけど、準優や優勝戦など、ここぞの場面では見られるかも。それがG1やSGなら面白い。またどこかでワクワクさせてもらいたい。【栗原竑人】