【ボートレース】西山貴浩の涙とお祭り騒ぎは「中田達也の魂とともに」/大時計の向こう側

少し気は早いけど、今年のボートレース界の10大ニュースに、入ってくるのではないか。10月、西山貴浩(37=福岡)が若松周年を制覇。念願だった地元G1のタイトルを手に入れた。

初めての地元周年タイトルを手にした西山貴浩が優勝メダルを誇らしげに掲げた(2024年10月撮影)
初めての地元周年タイトルを手にした西山貴浩が優勝メダルを誇らしげに掲げた(2024年10月撮影)

若松G1は3度目の優出だった。これまでは13年1月九州地区選、20年1月ダイヤモンドカップで、周年は初優出だった。今回は予選トップ通過からの優勝。準優後、篠崎元志らから、「完璧」とイン逃げをほめられ喜び、プレッシャーからも解放され、「もう泣きそう」とひと息ついた。優勝後、まず聞こえてきたのは「やらかしたかと思った~」と大きな声。優勝戦は差した森高一真に迫られていたから。西山らしくにぎやかだった。

その優勝から数日後、他の場で同じ97期の選手と話す機会があった。「同学年で登録番号は1つ違い」の原田佑実。訓練生時代の西山の印象を聞くと、「今みたいな感じではなかった。男子で一番年下だったのもあると思うけど」。期のムードメーカーというわけでもなく、わりと「普通」だったよう。実は97期の卒業記念レースに取材に行ったのだが、西山と話した記憶がない。「もう20年近くも前だし、忘れてるのでは」と原田。そうなのかなあと、その場を後にした。

西山にとって忘れられない優勝。そして、急逝した後輩のことを忘れることはない。22年11月、レース中の事故で亡くなった中田達也さん。若松や宮島を走る時など、ことあるごとに「中田達也の魂とともに」と口にする。以前、グランプリの話題になったときも、「達也を連れて行ってやりたい」と話していたのを思い出す。今年2度目のG1優勝でグランプリ出場は濃厚になった。年末の大一番も、後輩とともに戦う。

ファンにとっても記憶に残る優勝になっただろう。ただ、「まだ次があるので」という。そう、来年は3月にクラシック、8月にメモリアルと若松で2つのSGがある。期待されるのは地元でのSG制覇。そうなれば、さすがに涙するだろうか。いや、お祭りみたいに、大騒ぎになるんだろうなあ。【栗原竑人】

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