【競輪】往年の名選手も駆けつけた!8年ぶりに再開した熊本競輪は変わらず熱かった!
16年4月の熊本地震で被災した熊本競輪場が7月23日、8年ぶりに本場開催を再開した。記念すべきシリーズの最終日に、熊本まで足を運んでみた。
メインスタンドの有料席は早々に完売していたため屋外で観戦。客席は震災以前の雰囲気を残す作りになっており、どこか懐かしさを感じさせる。バックスタンドは解体され、バンク周長も500から400に変更となったが、客席のボルテージは以前と変わらない熱さだ。
場内を探索していると、OBの方も再開を待ち望んでいたのか、昨年引退された西川親幸さんにばったり。「遊びに来ましたよ!」と、かわいいお孫さんを抱っこする姿は、現役当時の眼光の鋭さはどこへやら、目尻を下げてすっかり“じいじ”の顔になっていた。ガッツマーカーとして名をはせた森内章之さんには「バックスタンドがなくなったから相当、風が吹き込んでくるみたいでキツそうだよ」と、車券戦術に欠かせないアドバイスもいただいた。
10Rには、惜しくも決勝進出を逃した中川誠一郎が出走した。震災直後の16年5月の日本選手権でG1初優勝、競輪場再建を検討する議会の傍聴に訪れるなど、熊本競輪復興のシンボルともいえる存在だ。選手紹介から大声援が飛び、レースではホーム手前からロングスパートすると、まるで決勝かのような歓声が響き渡った。惜しくもゴール前で失速して4着に敗れたが、「歓声が最後でため息に変わるのも競輪だよね。車券は取り損ねたけど面白かった!」というファンの声が印象的だった。
11RのA級決勝で松本秀之慎と半田誠の新鋭コンビがワンツーを決めれば、12RのS級決勝では次代のエース嘉永泰斗が今年のG1ウイナー北井佑季を制して優勝と、地元勢が最高の結果を残した。
久留米で代替開催されたG3もいよいよ10月には熊本の地に戻ってくる。26年2月にはG1全日本選抜競輪の開催も決定した。8年にわたる雌伏の時を経て火の国が再び、熱く染まり始めた。【中嶋聡史】