【セルジオ越後】W杯後、リーグの話題がまったくない女子サッカーの現状 必死さを見せてほしい
女子ワールドカップ(W杯)が幕を閉じた。スペインは強かったね。スピード、戦術、ハードワークでイングランドを圧倒した。そのスペインに4-0で勝った日本は、慰めになったのかな? ちょっとした運や対戦相手によっては、日本がその位置に立っていたかも、と思ったりしたら大間違いだ。この日のスペインなら、日本は太刀打ちできなかっただろうな。
結局、宮沢ひなたが得点王になった。スペイン戦の2得点を含め、大会通算5得点を決めた。この大会に限れば、スピードと瞬発力、駆け引きとシュート力がさえていた。しかし肝心なスウェーデン戦では得点できなかった。WEリーグでもそれほど得点できていない。なにより、W杯で日本を勝たせることができなかった。それが12年前の澤穂希と宮沢の違いだね。
結局、決勝戦に出場した2チームは、国内リーグが充実していて、世界中からいい選手が集まっている。代表の面々はそのリーグで普段からもまれているから強くなる。一時期、なでしこリーグにも世界トッププレーヤーが在籍していたが、今のWEリーグにはそういう選手はいない。むしろ日本のいい選手が、欧州や米国に目を向けている。チャンスがあれば、宮沢も欧州で経験を積めば、もっといい選手になれるかもね。
来年にはパリ五輪がある。そこで世界一になれるか。即答はできない。W杯後、WEリーグの話題はまったくならないのが、今の女子サッカーの現状だ。これを日本サッカー協会(JFA)がどう思うか。WEリーグはどんな工夫をしていくか。クラブは企業努力しているか。選手たちが頑張ってる半分程度でいいから、必死さを見せてほしいね。
(日刊スポーツ評論家)
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◆セルジオ越後(せるじお・えちご) 1945年7月28日、サンパウロ生まれ、日系2世。18歳で名門「コリンチャンス」とプロ契約。右ウイングとして活躍しブラジル代表候補にも選ばれる。72年来日。藤和サッカー部(現:湘南ベルマーレ)ではゲームメーカーとして貢献。辛辣で辛口な内容とユニークな話しぶりにファンも多い。