PK献上に涙のなでしこ熊谷「勝負の恐ろしさ痛感」
<女子ワールドカップ(W杯)フランス大会:日本1-2オランダ>◇決勝トーナメント1回戦◇25日(日本時間26日)◇フランス・レンヌ
サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク7位)はオランダ(同8位)に1-2で敗れ、3大会連続の8強進出はならなかった。
1点を追う前半43分にMF長谷川唯(22)のゴールで同点。後半は決定力を欠き、終了間際にPKから失点して力尽きた。16年4月以降の高倉麻子監督(51)体制では先制された試合で白星なしという嫌なデータをまたも克服できず。進化する世界との差をかみしめ、来年の東京五輪へと向かう。
幕切れは残酷だった。後半43分、FWミーデマのシュートがペナルティーエリア内でDF熊谷紗希の左腕に当たった。ボルハス主審はすぐに笛を吹き、ハンドと判定。痛恨のPK献上。熊谷は天を仰ぎ、この判定に観客から大ブーイングも起きた。17年FIFA女子最優秀選手のFWマルテンスにこの日2点目のゴールを奪われ、勝負は決した。
3大会連続での8強進出、そして2大会ぶりの優勝はならなかった。試合後は所属するリヨンの同僚でもあるオランダのFWファンデサンデンに抱き締められながら涙した熊谷は「(シュートは)避けられなかった。勝負の恐ろしさを痛感した試合だったかなと。もう少しこのチームでやりたかった」と悔やんだ。
負のデータを大舞台でも覆せなかった。16年4月からの高倉体制ではこの試合まで計47試合を戦い、先制を許した試合は1分け14敗。この日も前半43分の長谷川の同点ゴールで勢いに乗り、後半は一方的に攻めたが逆転弾が遠かった。高倉監督は「ある程度の時間帯をしのぎきれれば自分たちの時間帯に持ってこれるところは見れた。仕留めるところで精度が足りなかった」と決定力不足を嘆いた。
来年は地元開催の東京五輪でメダル獲得に挑む。この日の得点シーンも含め、ゴール前でのダイレクトパスを交えた複数人が絡む攻撃はオランダの脅威となっていた。指揮官が就任直後から世代交代を進め、W杯参加国中、平均年齢が2番目に低かった若いチームは大会を通じて確実に成長した。すでに日本協会の田嶋会長は、高倉監督の続投方針を示している。FW岩渕は「この大会でできたこと、できなかったことを見直して、もう1回、一からやりたい」と切り替えた。前を向いて、次の戦いへと臨む。