青森山田準V、武田主将は「一番悔しい負け方」

  • 準優勝に終わり、悔しそうに下を向く青森山田MF武田(中央)(撮影・鈴木みどり)

<全国高校サッカー選手権:静岡学園3-2青森山田>◇決勝◇13日◇埼玉

青森山田は高円宮杯U-18プレミアリーグとの2冠を逃した。前半33分に浦和加入が内定しているMF武田英寿主将(3年)がスルーパスに抜け出し、相手GKをうまくかわしてPK奪取。

みずから左足で右隅に決めて2点をリードしたが、その後守備のミスも重なり3失点。試合終了の笛が鳴ると、立ちつくした。「もう、この仲間とサッカー出来ないんだなと…。サッカー人生で一番悔しい負け方」と言葉を絞り出した。

新チーム当初は黒田監督らから「弱小」と称されてスタートした。だが、プレミアリーグ10戦負けなし発進。武田主将は「いけるんじゃねえかっていう、おごりみたいなものもあったと思う」。夏の高校総体3回戦で北越(新潟)にPK負け。そこからプレミアも5戦未勝利と、どん底も味わった。「自分がやらなきゃと思って、仲間の気持ちも考えず、個人技に走ったり、みんなに無理な要求もしていた」。暴走気味な姿勢に、仲間から距離を置かれることさえあった。

11月上旬、U-18日本代表としてのベトナム遠征が意識を変えた。U-19アジア選手権グアム戦でハット。「楽しくプレーすること。忘れていたものを思い出せました」。帰国してチームに合流すると頭を下げた。仲間からも「みんなでやらないと。ヒデだけじゃないぜ」。そこからは反骨心で芽生えた絆も復活。この日まで負けなしだった。

「優勝出来れば良かったですけれど、価値ある準優勝だったと思います」。支え合うことで得たチーム力。Jでこそ仲間のためにも埼スタで輝いてみせる。【鎌田直秀】