【秋田】堅守光り5戦未勝利の仙台に1-0 歴史的初勝利で昇格PO出場ラインまで勝ち点「7」
<明治安田J2:秋田1-0仙台>◇6日◇第34節◇ユアテックスタジアム仙台
秋田の守護神が、スタジアムの一角を青く染め上げたサポーターに向いて、雄たけびをあげた。
1-0で迎えた試合終了間際。相手PKという大ピンチで直感で右に跳び、同点ゴールを防いだGK山田は「プロで、PKの機会はたくさんありましたけど1回も止めたことがない。思わず(ガッツポーズ)しちゃいました」。オーバーリアクションはあまり好きではないのに、右拳を突き上げた。試合終了のホイッスルが鳴ると自然と両手を高く上げ、駆け寄るチームメートを受け止めた。
チームで何度もピンチを防いだ。前半7分にFW梶谷のヘディングシュートで先制したが、以降は攻め込まれるシーンが続いた。決定機を何度も作られ15本ものシュートを許したが、堅守でゴールを守った。山田は「決定的なシュートは何回も打たれているんですけど、最後に身を乗り出して足に当ててくれる。絶大な信頼を置いている」と、味方の献身的な守備に感謝。「最後に自分が、仕事ができてよかった」。湧き上がるPKストップの実感に〓(順の川が峡の旧字体のツクリ)を緩めた。
秋田はこの勝利で今季のJ2残留が確定した。吉田謙監督(54)は「秋田を信じて応援してくださる皆さまの思い、選手の勝ちたい思いが1つになった。胸が熱くなるような試合を選手たちがしてくれた」と、仙台まで足を運んでくれたサポーターと選手たちをたたえた。
ここからが正念場だ。残り4試合でPO圏内の6位仙台との差は勝ち点「7」。逆転PO進出へ向けて3勝はしておきたい。次節は20日、ホームで3位長崎と対戦する。吉田監督は「もっと鋭く、もっとチーム全員で、ということを挑戦していきたい」と意気込んだ。歴史的勝利を追い風に、PO圏内まで突き進む。【浜本神威】
○…PKを外したFW梅木は、しばらく顔を上げられなかった。コートに膝をつき、試合終了のホイッスルを聞くと、自分を責めるように何度もうなだれ、チームメートに支えられて整列に向かった。「残りの試合は、本当に、今まで以上に自分の全てをかけて戦いたいと思います」と言葉を絞りだした。
○…森山佳郎監督(56)は、PKを外した梅木をかばった。「彼が、誰も名乗り出ないところに『自分が』と名乗り出た。PKを外すのは、PKを蹴る勇気を持った選手だけだという言葉もありますけれど。問題はそこではない」と、流れの中で点が取れなかったことを悔やんだ。勝ち点55のまま6位に停滞。7位山形が1差と迫ってきた。残り4試合に向け「全部勝たないと。2週間後、横浜FCに勝つために、今から準備は始まっている」と表情を引き締めた。