【清水】J1復帰決め北川主将号泣、乾貴士は涙をこらえ笑み「ONE FAMILY」で結束

  • J1昇格を決め、スタンドに手を振る清水の秋葉監督
  • J1昇格を決め、サポーターを背に記念撮影する清水の選手たち
  • J1昇格を決め、サポーターを背に記念撮影する清水の選手やスタッフら
  • 後半、右足で決勝点を決める清水住吉

<明治安田J2:栃木0-1清水>◇27日◇第36節◇カンセキ

清水エスパルスが「ONE FAMILY」でJ1復帰を成し遂げた。勝てば自動昇格圏の2位以内が決まる一戦で、栃木に1-0で完封勝ち。後半5分にCKからDF住吉ジェラニレショーン(27)が決めた1発を、退場者を出して数的不利の状況で守り切った。昨季は勝てば昇格だった試合で2度引き分け、終戦。屈辱のシーズンを糧に団結し、悲願を達成した。この1勝で、再び首位に浮上。3季ぶりのJ1となる来季に弾みをつけるべく、残り2試合でのJ2優勝を目指す。

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「全員」で喜び合った。清水はベンチ入りした18人だけでなく、メンバーから外れた選手も栃木に駆けつけ、歓喜の瞬間を迎えた。スタンドをオレンジに染めたサポーターを背に記念撮影。おそろいの昇格Tシャツを着て、勝利後に行う「勝ちロコ」も舞った。主将のFW北川航也(28)は人目をはばからずに号泣。ベテランのMF乾貴士(36)は涙をこらえ、満面の笑みを見せた。あと1歩で昇格を逃した昨季のプレーオフ(PO)決勝から330日。悪夢を払拭した。

秋葉忠宏監督(49)は手放しで選手をたたえた。「最後まで集中して守った。そこは去年との違い」。1点リードで迎えた後半38分に北川が1発退場。数的不利の状況で表示された追加タイムは、昨季のPO決勝と同じ「8分」だった。あわや失点のピンチもあったが、体を張ってゴールを死守。残り3分で失点してJ1を逃した1年前の教訓が、最後に生きた。乾も「勝ち切れたことが成長」とうなずいた。

指揮官が掲げた今季のテーマは勝負強さ。1得点、勝ち点1に泣いた昨季の雪辱を込めた。練習では球際での攻防に特化した対人メニューや素走りを増やし、細部にこだわった。選手は勝利を重ねても満足せず、「勝ちながら修正する」日々を送った。自発的に選手間で意見し合うことも多くなったという。

秋葉監督が最も強調したのは一体感だった。「真剣に悩んでくれたり、苦しんでくれたり、パワーを与え合えるのがファミリーだと思っている」。クラブスローガンも「ONE FAMILY」。今夏には選手や社員、その家族も誘ってバーベキューを開催。総勢200人以上が集まり、結束力を高めるきっかけになった。

ピッチでは互いに支え合い、時には厳しく指摘し合いながら強くなった。クラブ史上初めての2季連続でのJ2を戦い抜き、J1切符をつかみ取った。ただ、昇格は通過点。秋葉監督は「残り2つ。必ずホームで勝ちたい」と宣言した。3季ぶりとなるJ1へ弾みとつけるための残り2試合。たくましくなった清水の目標は、J2優勝に変わった。【神谷亮磨】

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