【ルヴァン杯】準V新潟、松橋力蔵監督「越えなければならない境界線を一歩は越えたけど…」

  • 名古屋対新潟 前半、2失点にうつむく新潟松橋監督(撮影・垰建太)
  • 名古屋対新潟 後半、3人同時に交代をする新潟松橋監督(左)(撮影・垰建太)
  • 名古屋対新潟 前半、2失点にうつむく新潟松橋監督(撮影・垰建太)

<YBCルヴァン杯:名古屋3(5PK4)3新潟>◇2日◇決勝◇国立競技場

アルビレックス新潟は、初の決勝で名古屋グランパスとの壮絶な打ち合いの末、PK戦で敗れた。クラブ初タイトルは逃したが、就任3年目の松橋力蔵監督(56)と選手たちで磨き上げた攻撃的なフットボールを展開し、超満員の都心の聖地を熱狂させた。準優勝賞金5000万円を獲得した。

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新潟は名古屋との120分の死闘の末、PK戦で散り、クラブ初Vには届かなかった。松橋力蔵監督は試合後、「常に何かを越えなければならない境界線がある。その境界線を今日は一歩、右足は越えたかもしれない。だけど、左足を越えることが出来なかった」と「らしい」表現で、雨中の激戦を振り返った。

試合は前半だけで堅守速攻の名古屋に2点差をつけられる厳しい展開。それでも指揮官はハーフタイム、選手たちの目を見つめ「これで舞台は整った。これをひっくり返すんだ」と士気を高めた。

指揮官の言葉を胸に刻んだ選手たちは後半、パスと個人技が融合する新潟のフットボールを展開。0-2の後半26分にFW谷口海斗(29)が1点を返すと、同追加タイム、MF小見洋太(22)のPKで試合を振り出しに戻した。延長前半3分にまたも先手を取られたが、2-3の同後半6分に小見がこの日2点目を奪い3度も同点に追いつく。初Vは逃したが、スタジアムに駆けつけた6万2517人のファンを魅了した。

J1横浜コーチから21年に当時J2の新潟コーチに就任。クラブにポゼッションスタイルを植え付けたアルベル前監督(56)の後を継ぎ、22年に監督に昇格した。「J1基準」を合言葉にいきなり同年にJ1再昇格に導く。あれから3年。攻撃サッカーは浸透し成熟。今大会で力を示した。それでも「まだまだ。徐々に力をつけているが、私も含めもっともっと学ばなければならない」と満足はしない。

3大会ぶり2度目の優勝を喜ぶ名古屋の選手たちを横目にロッカールームに戻った選手たちには「本当に苦しい、悔しい思いをしたやつが上に行く。きっと今日は今までにないぐらいの悔しさをしたと思う。これを次につなげていかないといけない」と伝えた。初タイトルには届かなかったものの、確かな成長は見せた。【小林忠】

【ルヴァン杯】名古屋がPK戦を制し3年ぶり2度目V 新潟は初タイトルならず/決勝ライブ詳細