Jリーグを代表する強豪神戸を相手にハイラインを保ち、積極的に前に出て主導権を握った。シュート数は6本対6本。前半7分のCKからのクリアボールをDF山川哲史にボレーシュートでたたき込まれた場面、前半終了間際にMF武藤嘉紀に持ちこまれ、シュートが左ポストを叩く場面はあったが、それ以外はほぼ神戸にチャンスを与えなかった。
城福浩監督は試合後の会見では勝てなかった悔しさを表情ににじませ、こう話した。
「勝ち点1というのは、今日の手応えから逆算したら非常に悔しいものでした。アウェーで1-0で勝った時には、もう一度試合をやったら『これ勝てるのか?』と。選手も正直だし、我々もいくつかの決定機が相手にあって、我々がゴール前にクギ付けになるようなシーンというのがいくつかありました。それでも1-0で勝てた。今回は、勝ち点1で終わりましたけど、もう一度やらせてほしい、もう一度やったら絶対に勝ち点3を取れる。そういうふうに思える試合ができたことは、我々の成長を感じられる試合だったのかなと思います」
相手には最前線のキーマンFW大迫勇也、DF酒井高徳が不在だった。そこを差し引いても、勇気を持って戦った。ヴェルディらしさ。ハイライン、ハイプレスを実行。シュートを打ちきれなかったという課題は残したものの、攻守一体となってブレずに戦った姿に、指揮官は納得感があった。
「相手陣内でサッカーがやれていた。ただリスタートが怖い。それと自分たちが前からプレッシャーに行ったら、それを裏返すようなロングフィードを収められる選手がいる、神戸には。そこから自分たちがこう前に掛かった分、戻らなければいけない。そこの労力が神戸相手だと余計にかかる。ただ、その労力を嫌がって引くことはしたくなかったので、前から圧力をかけて相手陣でサッカーをするっていうのは、ある程度やろうとしたことは評価したい」
繰り返し口にした「自分たちのやりたいこと、表現したいことはある程度見せられた」。16年ぶりのJ1で残留を早くに決めたが、目標は「そこではない」と口酸っぱく言う指揮官。全力で走り、全力で戦い、サッカーの醍醐味(だいごみ)、おもしろさを伝えていく。そんな野心の炎をヴェルディは心の中にたぎらせている。
今季も残り2試合。JFKと呼ばれる指揮官に率いられたヴェルディは、見る者の心を揺さぶるサッカーに挑み続ける。【佐藤隆志】
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