■カルシウムが摂れるメニュー
今回のメニューは4品。クラブの栄養管理アドバイザー浜野純さんのおすすめポイントも付けて紹介する。
【ひじき甘辛ふりかけ】
「ひじきやちりめんじゃこはカルシウムとマグネシウムなどのミネラルが含まれます。甘辛の味付けはごはんがすすみますので、常備品として家でも食べて欲しいふりかけです」
【チキングリルガーリックハニーソース】
「選手にも好評の1品です。りんごとはちみつの甘さで野菜もおいしく食べられます。豚肉や白身魚にかけてもおいしいソースです」
【小松菜と春雨のナムル】
「小松菜はビタミンAやCが多く、栄養価の高い野菜ですので、これからの冬の時期の体調管理に役立ちます。春雨を加えると、ツルっとした食感で食べやすくなります」
【厚揚げの豆乳クリーム煮】
「豆乳と厚揚げは大豆製品で、カルシウムや鉄を多く含みます。これらの栄養素は成長期に不足しやすいので、小・中学生には、ぜひ摂取してもらいたいです。豆乳は味噌汁に少し入れると、コクが出ておいしくなります」
その4品に加え、定番のゴハンと牛乳が付いている。
成長期の小学生に不足しがちな栄養素のカルシウムが摂れるメニューで「元気に成長してもらいたい」という思いが込められた。
明るく親しみやすい人柄の太田さんが4年1組の給食タイムに合流すると、子どもたちの気分は一気に上がった。にぎやかな声が教室内に響く。配膳に始まり、全員揃ったところで手を合わせ、元気よく「いただきます」と号令がかかった。
完食率が高いというクラスとあって、おかずや牛乳のおかわりを巡ってジャンケンの輪が広がる。そこへ太田さんも加わり、歓声が上がった。
教室では町田の選手たちの動画が配信された。子どもの時に食べた給食で何が好きだったか? そしてメッセージ。通常の時間割の中で実に趣向を凝らした企画であり、何より子どもたちの輝く笑顔がその出来栄えを証明していた。
給食を終えた子どもたちからは「全部おいしかった。お肉、ご飯がすごくおいしかった」「ゼルビア強いし、かっこいい」「次のホーム試合を見に行く!」のはずんだ言葉が出てきた。見守っていた山本正則校長も「子どもたちにゼルビアがこういう活動をしていただいていることに感謝したいです。私もサッカーをやっていましたし、町田がサッカーで盛り上がってくれるのはうれしいです」。
■自分の育った町で最高の機会
Jクラブとは地域にとっての公共財である。スタジアムで夢を売る商売に終わらず、地域の活性化を担う役割も持っている。
そんなサッカークラブの意義を理解し、笑顔を絶やさず子どもたちと接した太田さんは「自分の育った町田でこんな関わり方ができるなんてうれしいですし、最高の機会でした。給食はおいしかったです。ものすごい量のご飯を盛られましたけど、会話が楽しくて、気づいたら誰よりも早く食べ終わってました」と言って笑った。
自身の小学校時代の給食を思い出し、「カレーが大好きでしたね。何でもよく食べて、残している子の分も代わりに食べてあげました。いいヤツでした。牛乳はめっちゃ飲んでました、昔はビンでしたね。町田はどこの学校も給食室があって。今回のメニューはよく考えられたもので、たくさんの栄養士さんが関わっていて、本当に豪華です」。
サッカーに目を向ければ、町田は明治安田J1で現在3位。前節、首位のヴィッセル神戸が東京ヴェルディに勝利していたら、優勝の可能性は完全消滅していた。だが、試合終了目前に痛恨のオウンゴールが飛び出しての1-1の引き分け。幸いにも「目指せJ1優勝!がんばれゼルビア!FC町田ゼルビア応援給食」のタイトルが無事に保たれた中、この日の楽しいひとときとなった。
太田さんはこう続けた。
「この1~2年でゼルビアへの認知、期待が大きくなっている。以前ならニュースで取り上げられることもなかったですから、すごいムーブメントです。子どもたちからも応援してる、見に行く、そんな声を聞くことができて非常にうれしいです。町田の子どもたちに憧れてもらえるようなクラブにしたい」
食べることとは生きること。サッカークラブと学校給食という掛け算が、明るい未来への礎になるかもしれない。【佐藤隆志】