【アジア杯】カタール史上5カ国2連覇!ヨルダンに3-1 アフィフPKハットで得点王&MVP
<AFCアジアカップ(アジア杯)カタール大会:ヨルダン1-3カタール>◇決勝◇10日(日本時間11日)◇ルサイル競技場
前回王者で開催国のカタール(FIFAランキング58位)が、初優勝を狙ったヨルダン(同87位)を下して2大会連続2度目の優勝を飾った。アジア杯2連覇は00、04年大会の日本以来で史上5カ国目の快挙となった。
FWアクラム・アフィフ(27=アルサド)がPKだけでハットトリックを達成し8得点で大会得点王とMVPを獲得した。
まずは先制だ。前半20分、巧みなドリブルで相手を手玉に取ると、ペナルティーエリアで倒されてPKを獲得。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックを経て22分、自らキッカーを務め、決めた。GKのタイミングを見ながら、ゴール左下へストレートに蹴り込んだ。
得点後はサプライズ行動に出る。右のソックスから自身のものとみられるトレーディングカードを取り出し、生中継映像のカメラに誇示した。カードを左右に振るち、瞬時に「S」の文字へ変わる手品を成功させて、約8万9000人収容のスタジアムを沸かせた。
これでアフィフは今大会6点目。日本を破ったイラクのFWアイメン・フセインと並び、得点ランキングのトップタイとなった。
さらには後半28分。1-1と追いつかれた6分後に再びPKを沈めた。今度も左側へ蹴り込み、舌を出して、自らの頭をポンポンして喜ぶ。そして、またもカードを取り出すと、同じ「S」の文字。今度は折り込んでいたことがバレバレとなり、国際映像でタネ明かしをした形となった。
2連覇を目指すカタールは、前回19年UAE大会の初優勝に貢献した不動の2トップ、アフィフとアルモエズ・アリ(アルドハイル)が今大会も健在。そのアフィフが得点ランクの単独トップに躍り出た。
これで収まらない。後半ロスタイムには、ボックス内でアフィフがGKと接触し、主審がVARのオン・フィールド・レビューの末、実に3度目PKの笛を吹く。今度は右へアフィフが決めて、優勝を決定づけた。もうカードはない。最後は両手で「S」を形作った。
対するヨルダンは、本戦出場わずか5度目ながら初4強からの初ファイナル。準決勝では韓国に2-0で完勝した勢いで、一気の制覇をもくろむ。韓国戦で1得点1アシストの司令塔MFムサ・タマリ(モンペリエ)やFWヤザン・ナイマト(アルアハリ)がスタメン起用された。1点を追う後半22分、ナイマトがエースの意地を見せる。ロングボールを神トラップから、これ以上ないコースに左足でたたき込んだ。試合を振り出しに戻してみせた。
ただ、勝ったのはホスト国だった。会場は22年FIFAワールドカップ(W杯)決勝と同じスタジアム。約8万9000人の収容でチケットは完売し、大声援を受けていた。ガルフ杯ではなく、アジア杯で実現した07年大会以来3度目となる中東勢の決勝。2連覇か初か-。3-1としたカタールが史上5カ国目の2連覇を確実としていた。
この大会はFIFAランク17位の日本、21位のイラン、23位の韓国、25位のオーストラリアとアジア内で上位4チームだった優勝候補が次々敗退。カタールは前回王者の肩書こそ持っていたものの、主将のMFハイドス(33=アルサド)が「開幕1カ月前には、私たちが決勝に進むとは誰も予想していなかったと思う」と率直に語るなど、確かにV候補には挙げられていなかった。
自国開催だった22年W杯でホスト国として初となる初戦黒星を喫し、1次リーグも3連敗で敗退。大会後にスペイン人のフェリックス・サンチェス監督も退任した。翌23年2月、W杯で4大会指揮の名将カルロス・ケイロス監督が就任したが、わずか10カ月で退任。再びスペイン出身のマルケス・ロペス氏が後任に就いていた。
失意からの再起途上も、一体感は随一だった。カタールは登録メンバー26人が全員、国内組。新指揮官の下、勝手知ったるメンバーで連係を高めてきた。18年からカタールのアルワクラを率いてきたロペス監督は「私は長い間、カタールのリーグにいたので、選手たちとの関係にアドバンテージがあった。ここまでの道のりは困難だったが、選手が我々の哲学を共有してくれた」と語っていた。
22年のW杯決勝でアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが悲願のトロフィーを頭上に掲げてから419日。同じルサイル競技場で国民を前に屈辱を味わったカタールが、アジア杯では前回大会から14戦無敗の快進撃で2連覇にたどり着いた。
◆カタールの勝ち上がり(☆はPK戦勝ち)
1次L第1戦 3○0レバノン
1次L第2戦 1○0タジキスタン
1次L第3戦 1○0中国
決勝T1回戦 2○1パレスチナ
準々決勝 1☆1(3PK2)ウズベキスタン
準決勝 3○2イラン
決勝 3○1ヨルダン
◆アジア杯の複数回優勝国
4回 日本(92、00、04、11年)
3回 サウジアラビア(84、88、96年)
3回 イラン(68、72、76年)
2回 韓国(56、60年)
2回 カタール(19、24年)