湯浅は途中棄権 平昌でリベンジ

[ 2014年2月24日9時54分

 紙面から ]2回目でコースアウトし、悔しがる湯浅(共同)<ソチ五輪:アルペンスキー>◇22日◇男子回転

 アルペン男子回転で06年トリノ五輪7位の湯浅直樹(30=スポーツアルペンク)が2回目に途中棄権し、2大会ぶりの五輪が終わった。1月中旬に転倒し、右足首骨折で「全治は最短でも8週間」と言われたが、奇跡の回復力で出場にこぎつけた。悔しさを力に18年平昌五輪で56年コルティナダンペッツォ五輪での猪谷千春氏以来のメダル獲得を誓った。

 金メダルを目指し、不器用なまでに自分を貫いた。1回目20位。逆転を狙った湯浅の2回目は、スタートから数秒で終わった。2回目の旗門設定は上位選手が次々とコースアウトする超難コース。序盤にリズムを作れずスキー板を抑えられないまま吹っ飛んだ。「安全策」を取れば、完走はできたかもしれない。ライトナー・チーフコーチにも「動きを止めてでも堅実に」とアドバイスを送られていた。それでも「金メダルを取る」ために信じた“道”を行って散った。

 奇跡を起こし続け、スタートゲートに入った。1月19日のW杯第5戦。激しく転倒し右足首を骨折。「全治に最短で8週間はかかる」と言われたが、「1%でも可能性があるなら手術してくれ」と懇願した。懸命なリハビリを続け「医者はこんな治りの早いやつは見たことないと言っていた。スタッフも驚いている」と笑うほどの回復力で戻ってきた。

 10年バンクーバー五輪は、代表から漏れた。ブログで引退を示唆すると約500人のファンから「やめないで」の激励のメールが届き、もう1度歩き始めた4年間だった。

 すでに気持ちは、4年後に向けている。「猪谷千春さん以来のメダルを取るのは僕。頭の中は4年間をどう歩いていくかでいっぱい。早く練習がしたい」。世界の頂点への渇望が4年後へと突き動かしている。【松末守司】

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