ユヅルの恩返し 被災者やリンクへ寄付
[ 2014年2月26日8時8分
紙面から ]
ソチ五輪フィギュアスケート男子金メダルの羽生結弦(19=ANA)が25日、報奨金の使い道に東日本大震災の被災者への寄付を挙げた。羽生はこの日朝、日本選手団本隊の一員としてチャーター機で帰国。都内のホテルで行われたメダリスト会見で、金メダル獲得の喜びを口にし、世界選手権(3月・埼玉)優勝を次の目標に掲げた。
羽生は「報奨金の使い道は?」と質問されて、はっきりと言った。「震災の方への寄付であったり、リンクへの寄付であったり、そういうふうに使おうかと思っています」。金メダリストには日本オリンピック委員会(JOC)から300万円、日本スケート連盟からも同額が贈られる。その使い道が「寄付」だった。
スノーボード・ハーフパイプ(HP)銀メダルの平野は「まだ何も考えていません」と話したし、銅の平岡も「たぶん貯金です」と言った。まだ10代、銀メダル200万、銅メダル100万の使い道を突然聞かれても、答えるのは難しい。それでも羽生は被災者支援を即答。自らも仙台で被災したからこその言葉だ。
周囲の騒ぎに浮かれることはない。「五輪の注目度の高さを、あらためて感じている。関心の高い大会だからこそ、何かを伝えられたのでは」と、しっかり地に足をつけて話した。「日本に最高の結果を持ち帰れてうれしい」と言いながらも「まだ実力が足りない。五輪チャンピオンらしい演技ができる強い選手になりたい」と言い切った。
大舞台を終え、恒例の質問でもある「今、やりたいことは?」。羽生は「特に何もないです」と言った後で「早く練習して、世界選手権に向かいたい」と話した。
4年後の平昌(ピョンチャン)五輪での連覇についても「現役は続けているだろうけど、今は考えていません。まず世界選手権で金がとれるように」。周囲を感心させるほど「大人」な19歳は、五輪騒ぎを振り払うように1カ月後の大会に照準を合わせた。