トヨタ自動車3連覇なるか?/ニューイヤー駅伝展望

 連覇中のトヨタ自動車、前回2位のコニカミノルタ、東日本予選優勝の日清食品グループ、五輪や世界陸上の代表経験者が多い旭化成が4強と言われているが、前回3位のトヨタ自動車九州、リオ五輪代表2人を擁するホンダも含めて6強とする見方もある。12月20日時点でのエントリー選手をもとにレース展開を展望する(正式区間エントリーは大会前日の12月31日に決定)。

 【1区(12・3キロ)】ペースによって浮上するチームが変わりそうだ。序盤から積極的に走って潰れてしまうリスクをとりにくいが、旭化成は1万メートル27分代の記録を持つ大六野秀畝(24)か村山紘太(23)を起用する見込みで、前半からハイペースに持ち込みそう。日清食品グループは1500メートル日本選手権優勝の戸田雅稀(23)がそのペースにつけるかどうかが見どころ。トヨタ自動車は中部予選1区を独走した大石港与(28)を起用するようなら旭化成に対抗できる。前回と同じ早川翼(26)なら、トップが見える範囲で2区につなぎたい。

 【2区(8・3キロ)】外国人選手の出場が認められている唯一の区間。リオ五輪1万メートル銀メダルの九電工のタヌイ(26)、昨年の北京世界陸上1万メートル4位のDeNAのカロキ(26)が世界トップクラスの走りを見せる。1区がスローペースならばダンゴ状態でのたすきリレーとなり、九電工かDeNAのいずれかが先頭に立ちそう。しかし1区がハイペースで各選手間の差が大きくなると、優勝候補チームの外国人選手の走りがトップ争いに影響する。東日本予選3区でカロキに20秒差をつけて区間賞を獲得した日清食品のレオナルド(22)が、4強のなかでは一番調子が良さそうだ。

 【3区(13・6キロ)】スタミナよりもスピードが要求される区間で、トラックの日本トップレベルの選手が多数出場する。前回区間賞の上野裕一郎(31)がいるDeNAは1区の選手の頑張り次第では2区のカロキと3区の上野の走りで独走態勢を作る可能性がある。日清食品は戸田か佐藤悠基(30)の起用が濃厚。故障で半年間ブランクが生じた佐藤がどこまで回復しているか注目したい。トヨタ自動車は大石か田中秀幸(26)が走る見込みで、ここでトップグループに加わりたい。コニカミノルタは菊地賢人(26)設楽啓太(25)神野大地(23)と同区間の候補が多いが、今季の状態では“山の神”神野がスピードでも一番優れている。外国人不在で2区で1分程度のビハインドを負いそうな旭化成は、村山紘か大六野でトップから30秒差以内に追い上げたい。

 【4区(22・0キロ)】このレースの最長区間で、スピードとスタミナの両方を要求されるエース区間。旭化成は今季大きく成長した市田孝(24)の起用が濃厚で、ここでトップ集団に追いつきたい。日清食品は村沢明伸(25)、コニカミノルタは神野か設楽啓、トヨタ自動車は大石か箱根駅伝2区で2年連続区間賞を獲得した新人の服部勇馬(23=東洋大出)が有力。優勝争いをするチームはここ数年、必ずトップが見える位置で4区を終えているが、大きなリードを奪うまでには至ってはいない。2年連続4区区間賞の設楽悠太(25)を擁するホンダ、マラソンの現役最速記録を持つ今井正人がいるトヨタ自動車九州も4区でトップ集団に迫りたいところ。九州予選エース区間で今井、村山謙太(旭化成)を抑えて区間賞を獲得した井上大仁(23)のMHPS長崎も、1~3区の頑張り次第で優勝争いに加わることができそうだ。

 【5区(15・8キロ)】4区に続き2番目に距離が長い。急傾斜ではないが、上りも最もある区間。この大会名物の赤城おろしが正面から吹きつけ、選手を悩ませる。ロードの強さが最も要求される区間と言える。近年はこの区間で2~3チームに優勝争いが絞られる傾向にある。トヨタ自動車は早川か宮脇千博(25)松本賢太(25)と候補が多いが、トップ集団をキープするはず。コニカミノルタは前回区間賞の山本浩之(30)、日清食品は東日本予選で勝利を決定づけた矢野圭吾(25)が有力で、ともにトップ争いに加わりたい。旭化成はリオ五輪マラソン代表だった佐々木悟(31)の起用が濃厚だ。

 【6区(12・5キロ)】過去4年間、ここで区間賞を取った選手がリードを奪ってチームを優勝に導いている。トヨタ自動車は2年連続区間賞の田中か宮脇、もしくは松本のいずれかが起用されそうで、この区間で3連覇を決定づけたい。旭化成は鎧坂哲哉(26)か村山謙太(23)の「日本代表経験組」が走る可能性もある。今季は不調に苦しんだ2人が復活ののろしを上げて優勝をたぐり寄せたい。日清食品は小野裕幸(30)か高瀬無量(27)が有力。コニカミノルタは野口拓也(28)か伊藤正樹(27)か。この2チームも、区間賞を獲得したことのある実績組の復調がカギを握る。

 【7区(15・5キロ)】最終区は単独走になる可能性が高いが、ゴール前のスパート合戦も考えられるため、競り合いにも勝てる選手が配置される。トヨタ自動車は早川や宮脇が候補。旭化成は鎧坂か村山謙、日清食品は小野、コニカミノルタは6区候補の2人と谷川智浩(27)の可能性がある。宮脇、鎧坂、村山謙、小野は1万メートルで27分台を持つスピードランナーで、谷川は東日本予選アンカーで区間賞と好調。過去5年間は6区でリードしたチームが7区を独走しているが、09年と11年は1位と2位が1秒差という混戦だった。

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