初めて世界の舞台に挑んだ小林が銅メダルを手に入れた。５０キロ競歩はまだ２度目。それでも堂々とレースを展開した。荒井と共に３７キロ付近で２位争いの集団から抜け出した。ここからは五輪銅メダリストに引っ張ってもらった。「２人でメダルを取るぞとペースをつくってくれた」と最後は２秒遅れでゴールすると、笑顔で迎えられた。

　昨季、２０キロから転向したばかり。所属先のビックカメラでは店頭でサングラスを売る傍ら、競技力を磨いた。もともと長距離選手。秋田工高時代に競歩を始めたものの、当時は「嫌だった。フォームが良くなったとかも聞いていたので、走りのために」と取り組んだ。箱根駅伝を目指して進んだ早大で３年時に不本意ながら競歩に専念した。

　今でも走る方に未練はある。「過去の自分が、こんな未来でも良かったなと思えるような結果を出せるよう頑張っていく」とさらなる高みを見据えた。【上田悠太】

　◆小林快（こばやし・かい）１９９３年（平５）２月２８日、秋田県生まれ。大館東中１年で陸上を始める。秋田工高では長距離と競歩を両立し、早大３年から競歩に専念。１５年春にビックカメラに入社。２０キロの自己記録は日本歴代５位の１時間１９分１２秒。１６５センチ、５３キロ。家族は両親と妹。