日本郵政が本命、ヤマダ電機など続く/大会展望
全日本実業団対抗女子駅伝は26日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。連覇を狙う日本郵政グループが優勝の本命だが、ヤマダ電機、ユニバーサルエンターテインメント、ダイハツ、積水化学も総合力では引けを取らない。予選会のプリンセス駅伝1位の豊田自動織機、同2位のパナソニック、さらには2人のエースを擁する資生堂とワコールも、エース区間で勢いがついたら突っ走る可能性もある。日本郵政にミスが生じたときは大混戦となるかもしれない。
【1区(7・0キロ)】日本郵政は鈴木亜由子か鍋島莉奈を起用予定。世界陸上代表2人のどちらかが1区を、どちらかが3区を走ることになる。世界陸上1万メートル10位の鈴木が1区なら、最初から大きくリードして逃げ切る戦術になる。中盤以降に上り下りが続く区間だが、上りにも強い鈴木は速いペースで押して行く可能性が高い。他のチームは鈴木につくか、第2集団で進めるかの選択を迫られることになるだろう。鍋島も前回起伏のある5区で区間賞を取った。1区でも区間賞候補だが、トラックでも主戦場は5000メートルで、7キロの距離で積極策はとりにくい。終盤まで集団で進むのではないか。
日本郵政に対抗できるのは、前回1区区間賞のワコールの一山麻緒と、絶好調のユニバーサルエンターテインメントの木村友香の2人。スローペースになれば、プリンセス駅伝1区区間賞の積水化学・森智香子にも勝機が出てくる。森田香織のパナソニック、竹地志帆が有力なヤマダ電機、竹中理沙の資生堂、宮崎悠香の九電工が上位でタスキをつなぐ候補だ。
【2区(3・9キロ)】2番目に短い距離だが、絶対に後れるわけにはいかない区間。
日本郵政は宇都宮恵理か寺内希の起用が濃厚だが、1区のリード次第ではトップのまま3区にタスキを渡すことができる。1区が混戦なら、2区では大きく離されないことが役目だ。
積水化学はリオ五輪5000メートル代表だった尾西美咲、九電工は1500メートル日本選手権優勝の陣内綾子、第一生命グループは飯野摩耶、豊田自動織機は薮下明音が有力で、トラックのスピードランナーがそろう。
ダイハツは吉本ひかりと新人の大森菜月で序盤2区間を受け持つ。2年前まで3連勝したデンソーも、光延友希と小泉直子が当時の走りを再現できれば上位で3区につなぐことができる。ヤマダ電機も2区に強い選手を起用予定で、どのチームも1区と2区のセットで日本郵政との差を最小限にとどめる戦術だ。
【3区(10・9キロ)】最長区間に各チームのエースがそろう。資生堂・高島由香が4年連続区間賞と、区間記録更新を目指して走る。駅伝になると高島が強いが、日本郵政の鈴木もしくは鍋島、日本選手権1万メートル優勝のダイハツ・松田瑞生、プリンセス駅伝3区区間賞のパナソニック・堀優花、全日本実業団陸上1万メートル優勝の積水化学・松崎璃子も区間賞を狙える。
日本郵政は3区が鍋島なら、万一追いつかれてもトップと小差にとどめる作戦。終盤まで集団なら、ラストに強い鍋島が先着できる。鈴木ならトップに追いつくか、リードを奪う狙いだろう。
上述の区間賞候補に加え、第一生命・上原美幸、ヤマダ電機・石井寿美(または筒井咲帆)、ユニバーサル・鷲見梓沙、豊田自動織機・福田有以ら若手エースが走るチームや、ワコール・福士加代子、九電工・加藤岬といったマラソンランナーが走るチームも、上位で踏みとどまりたい。
【4区(3・6キロ)】最短区間で外国人選手の起用が認められている。外国人選手不在のチームは、6番目の選手が走るが、日本郵政の不安が一番大きい区間。資生堂も前回は中距離ランナーの須永千尋がトップを守ったものの貯金を大きく取り崩した。外国人選手が走る豊田自動織機、ユニバーサル、九電工がトップに立つ可能性がある。選手層が厚いヤマダ電機、第一生命もここで差を縮めておきたい。
【5区(10・0キロ)】レース後半となるので重要度は3区よりも低いが、アップダウンが続き、向かい風となることも多いため、タイム差は3区以上につきやすい。ここに代表経験選手を残せるのが関根花観を起用する日本郵政と、前田彩里のダイハツ、田中智美の第一生命。日本郵政は関根で勝負を決めたいが、ダイハツがそれを阻止できるか。代表選手に迫る力を持つのがヤマダ電機・筒井もしくは石井、さらにはユニバーサル・中村萌乃、積水化学・桑原彩、パナソニック・森田詩織、豊田自動織機・林田みさき(または沼田未知)らか。4区終了時点の位置次第では、これらのチームもトップに立つ可能性はある。
【6区(6・795キロ)】アンカー勝負に強い選手を残せるチームは限られる。日本郵政は前回も6区で区間4位の寺内が、駅伝では絶対に外さない選手としてチーム内の信頼も厚い。5区でリードできればそのまま連覇のテープを切るだろう。逆転できるとすればヤマダ電機が2年前の世界陸上代表だった西原加純をこの区間に残せた場合。豊田自動織機もプリンセス駅伝6区区間賞の林田なら期待できる。多くのチームはアンカー勝負ではなく5区までに決着をつけたい。
※出場区間は取材や戦力分析をもとに予想したもので、最終区間エントリーは大会前日に決定される。