パナソニック、ダイハツ、日本郵政が3強/展望
全日本実業団対抗女子駅伝は25日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間(42・195キロ)で行われる。
前回優勝のパナソニック、同2位のダイハツ、前々回優勝のJP日本郵政グループが3強と予想される。MGC出場権獲得者2人を擁す天満屋や、リオ五輪代表2人がいる第一生命グループも3強に迫るだろう。ヤマダ電機と豊田自動織機も選手層が厚く、後半にも強い選手を残すことができる。
予選会であるプリンセス駅伝を1位通過したワコールや同2位の京セラは、3区のエースで優勝争いに加わるかも見どころとなる。
【1区=7・0キロ】アップダウンが激しいコースで、独走で逃げ切るのは難しい。2つめの上りが終わる5キロ地点か、最後の上りが始まる5.5キロ過ぎでレースが動く可能性が高い。
パナソニックの1区は森田香織(23)、渡辺菜々美(19)、堀優花(22)の3本柱のいずれかが走ることになりそう。森田香が走ればラスト勝負に持ち込み、2年連続区間賞を狙うだろう。日本郵政は調子が上がれば関根花観(22)の可能性もあるが、別の選手も準備できているという。ダイハツは前回区間4位の吉本ひかり(28)の起用が濃厚で、確実に上位につける。
3強以外では17日の記録会でワコールの一山麻緒(21)天満屋の谷本観月(23)が好調をアピール。ワコールは新人の長谷川詩乃(19)も好タイムをマークし、1区の可能性が出てきた。プリンセス駅伝1区を制した積水化学の佐藤早也伽(24)も区間賞候補だ。
- パナソニック・森田香織
【2区=3・9キロ】2番目に距離の短い区間だが、各チームとも3区のエースへの負担が少なくなるよう上位でタスキを渡したい。
天満屋は前回区間2位の西脇舞(25)か、17日の記録会で好走した松下菜摘(23)のいずれかを起用する予定。どちらが来ても強力で、トップに立つ可能性がある。前回高卒1年目で区間5位の第一生命・原田紋里(20)が、どのくらい成長しているかも見どころ。
他のチームは誰が起用されるか予想が難しいが、選手層の厚さが問われ、チーム4~5番手の選手の状態で順位が変動する。
【3区=10・9キロ】最長区間に各チームのエースがそろう。パナソニックが堀優花(22)なら2年連続区間賞がかかる。昨年は最初から得意とする独走状態だったが、競り合いでタスキを受けた時に、同じように自分のリズムで走ることができるかどうか。日本郵政は鈴木亜由子(27)か鍋島莉奈(24)。どちらを起用してもこの区間でトップに立ちたい。ダイハツは日本選手権1万メートル優勝の松田瑞生(23)の起用が濃厚。9月のベルリンマラソン後の練習不足を本人は気にするが、負けん気の強さで前の選手を追い上げるだろう。
天満屋はMGC資格を得ている前田穂南(22)が有力だが、10キロのスピードに対応できるかが焦点。
資生堂は14~16年まで3年連続3区区間賞の高島由香(30)、第一生命はリオ五輪代表の上原美幸(23)、京セラはアジア大会5000メートル代表の山ノ内みなみ(25)、積水化学は米国チームでトレーニング中の松崎璃子(25)、ワコールはベテランの福士加代子(36)か一山、九電工は前回8人抜きの加藤岬、豊田自動織機は復活した萩原歩美(26)、ヤマダ電機は筒井咲帆(22)か石井寿美(23)といずれ劣らぬ快足ぞろい。今回3区を走った選手の中から東京五輪の代表が複数生まれるだろう。
- ダイハツのエース松田瑞生
【4区=3・6キロ】最短区間で、外国人選手の起用が唯一認められている。外国人選手のいないチームは6番手の選手が走ることが多く選手層の厚さが表れる。
区間賞候補はプリンセス駅伝4区区間賞のP・カムル(23=ルートインホテルズ3)と、同2位のR・ワンジル(23=スターツ3)、昨年の高校タイトルを独占したH・エカレラ(19=豊田自動織機、仙台育英高出)。上位候補の豊田自動織機はこの区間でトップに立つか。
日本選手では第一生命の飯野摩耶(30)が昨年の区間2位、日本郵政の柴田千歳(26)が同区間4位と実力がある。天満屋は2区候補でもある松下か西脇で期待が高い。どのチームもできるだけ小さな差で5区にタスキを渡したい。
【5区=10・0キロ】レース後半なので重要度は3区よりも低いが、アップダウンが続き、順位変動が起きる区間。
ここに強力な選手を残すことができるのが3強だ。パナソニックは堀、森田香、渡辺の3本柱の1人が起用される。堀と渡辺は1人でも自分のリズムを刻める選手で、昨年同様独走に持ち込みたい。日本郵政は鈴木か鍋島。一昨年の優勝はこの区間で鍋島が資生堂を逆転し、第一生命を突き放した。
ダイハツは前回区間賞の前田彩里(27)が欠場するが、2年目の大森菜月(24)が絶好調だ。立命大時代は日本インカレ5000メートルを連覇し、全日本大学駅伝など多くの駅伝で1区の区間賞を取った。林清司監督は「良ければ32分30秒(昨年の区間1位は32分50秒)も」と期待する。
そして3強に迫る勢いなのが天満屋。高卒1年目の三宅紗蘭(19)が17日の記録会で、ワコールの一山に次いで2位となり5000メートルの自己記録を大きく更新した。3強の5区候補と比べると経験不足は否めないが、大化けする可能性もある。
ワコールが福士をこの区間に起用できれば、大逆転劇もあるだろう。
- ワコールの福士加代子
【6区=6・795キロ】パナソニックは前回、内藤早紀子(24)が区間2位で危なげなく逃げ切った。今年も6区起用なら区間賞候補だ。日本郵政とダイハツは予想が難しいが、3強はどのチームも5区までにリードして、ビクトリーロードにしたい区間だろう。
アンカー勝負に持ち込みたいのが天満屋だ。小原怜(28)なら、万全でなくとも勝負強さに期待できる。豊田自動織機も選手層が厚く、前回区間4位の林田みさき(22)が6区なら逆転優勝の可能性もある。ヤマダ電機は前回区間賞の竹地志帆(28)が、今年も追い上げを見せるだろう。
アンカー勝負になるか、5区まででリードを奪ったチームが逃げ切るか。先頭だけでなく、追い上げてくるチームの動向もチェックしながらレースを見た方が良さそうだ。
※出場区間は取材や戦力分析をもとに予想したもので、最終区間エントリーは大会前日に決定されます。