【陸上】廣中璃梨佳「自分の手でつかみに」田中希実の新記録刺激にアジア大会2種目でメダルへ

  • 杭州アジア大会への出国前に羽田空港で取材に応じた陸上女子の廣中(左)と陸上男子の佐藤拳(撮影・藤塚大輔)

8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)女子1万メートル7位入賞の廣中璃梨佳(22=日本郵政グループ)が、日本代表の女子主将を務める杭州アジア大会(中国)へ向け、メダル獲得を誓った。

26日、羽田空港で取材対応。今大会には5000メートル、1万メートルに出場予定で「メダルは2種目とも確実に取りたい気持ちが強い。少しでも良い記録が出せれば」と笑顔で意気込んだ。

今夏のブダペスト大会でも2種目に出場。その後は9月上旬から約2週間ほど、標高1500メートルの米コロラド州ボルダーに滞在した。「コースにはボコボコな道もあって、そこを走行することで体幹やバランスを鍛えながら走る」トレーニングで力をつけた。「ちょっと厳しい環境の中で練習ができた」と手応えを得た。

その間には、1学年先輩の活躍にも影響を受けた。同じく女子中長距離の田中希実(24=ニューバランス)は、今月8日に5000メートルで日本新記録となる14分29秒18をマーク。「新たな歴史を切り開いてくださった。日本人でも14分半を切れる力をつけると、世界と戦えるんだと見せていただいた」。特に「タフさ」には差を感じた。

「私よりも確実に大会数も多くて、そのタフさは私には足りないところ。ケニアでの合宿もされていて、気持ちだけでなく、体のタフさも身に着けられたのではないかなと思う」

廣中自身も世界のトップを希求する思いがさらに強まった。「世界で戦う意味でも、海外を経験することは大事になると思う。1つ1つ自分の手でつかみにいけるようにやっていきたい」と静かな口調に熱を込めた。

そう思えるようになったのは、今季の経験があったからでもある。今年2月に左アキレス腱(けん)を痛め、4月まで走ることがままならなかった。6月の日本選手権は5000メートルで21位。そんな中、世界選手権では入賞入りの快走をみせた。

「自分の中では自信になりました。思うように走れない時期が長かったので、世界陸上に合わせられたのは良かったと思います」

2種目でのメダル獲得を狙うアジア大会。世界を見据え、自信を胸にスタートラインに立つ。【藤塚大輔】