【陸上】アジア大会金メダル上山紘輝「走れない」から「良い感覚」へ 浮上きっかけをパリ五輪へ
杭州アジア大会(中国)の陸上男子200メートルで金メダルを獲得した上山紘輝(24=住友電工)が、来夏のパリオリンピック(五輪)への決意を示した。
6日、羽田空港へ帰国。「しっかりと冬季に練習を積んで、来年のパリへ向けて、またレベルアップしたい。日本で勝負をして、パリで活躍したい」と固く誓った。
上山は2日の200メートル決勝で20秒60(向かい風0・2メートル)をマーク。陸上競技では、日本勢で金メダル第1号となった。
「決勝の前から日本チームには金メダルがいないということで、『第1号になる権利はあるよ』という話をしていた。最初に日の丸を一番上に掲げられたのはすごくうれしかったです」
同400メートルリレーでは3走を務め、銀メダルに貢献。「雰囲気が良くて、楽しいチームだったかなと思います」と笑みをたたえた。
充実の大会となったが、今季中盤にかけては「良くないシーズンを過ごした」と振り返る。5月3日の静岡国際では、追い風参考ながら20秒32をマーク。「悪くないレース」と6月上旬の日本選手権へ臨んだが、決勝では20秒94で7位に終わった。
「原因が本当に分からないんですが(レース前に)不安になるというか。レースに出るのが嫌になる感じもあって。スランプまではいかないですけど、どうレースをすればいいのか分からない状態がずっと続いていました」
7月中旬のアジア選手権は20秒53で3位。予選敗退となった8月下旬の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)も「練習では良いのに、本番のレースに立つと走れない、体が動かない症状があった」という。
そこからスタートの改善や自己ベストの20秒26をマークした昨夏の世界選手権(米オレゴン州)の走りとのズレを再確認。試行錯誤を経て迎えたアジア大会では「スタートラインでの不安がなかった」とすっきりした思いでスタートを切ることができた。「前半からしっかり勝負できたと思うので、多少は良い感覚をつかめた」。浮上のきっかけを得た。
今後はパリ五輪出場へ向け、参加標準記録(20秒16)の突破を目指す。初の五輪舞台へ懸ける思いは強い。
「東京五輪に出れなくて、その時はまだ全然勝負できるレベルではなかったですけど、今回はパリへ向けて勝負できる立ち位置にいるのかなと思っているので、そのチャンスを生かして、代表権を確実にとることを目標にやるしかないです」
今の勢いを来季へつなげ、目標を達成する。【藤塚大輔】