【高校駅伝】女子は神村学園V カロライン1分20秒差大逆転!20歳で死去の先輩に捧げる力走

  • ゴール前で仙台育英アンカーの橘山(右)をかわし優勝した神村学園・カロライン(撮影・上田博志)
  • 優勝を決めた神村学園の選手たちは笑顔で記念撮影をする(撮影・上田博志)
  • 神村学園アンカーのカロラインに逆転され涙を流す仙台育英・橘山(撮影・上田博志)

<全国高校駅伝・女子>◇24日◇たけびしスタジアム京都発着(女子5区間21・0975キロ)

神村学園(鹿児島)が1時間7分28秒で5年ぶり2度目V。最終5区でケニア出身の留学生カリバ・カロライン(3年)が1分20秒差を大逆転し、わずか1秒差で仙台育英(宮城)に競り勝った。

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わずか1秒差の大逆転だ。神村学園カロラインは、競技場に入って、約50メートル先に仙台育英アンカー橘山の姿をとらえた。有川哲蔵監督(57)の「いける」という声に加速。「相手の足を見て、全力を出せば優勝できると思った」。最後の直線で並んでラスト50メートルで前に出た。1分20秒差の3位でたすきを受けて逆転。「自信はあった。日本人のみんなが予定通り走ってくれた」。

度重なる悲しみを乗り越えた。4月には日立に所属する2年先輩のバイレ・シンシアさんが鼻の悪性腫瘍で亡くなった。20歳だった。来日当初、慣れない日本の生活で通訳を務めて支えてくれた先輩だった。「本当にいい人だった」。亡くなる前日、病院で面会した有川監督が撮影した動画にあった「駅伝で一番になって」という願いに応えた。

たすき渡しの時点で1分差以内という同監督の予想を上回って、1分20秒差を大逆転。同監督も「カロラインのすごさをあらためて感じた。シンシアが残してくれた財産だと思うとうれしい」と涙。カロラインは沿道からの「シンシアのために頑張って」という声を聞いて「力が入った」という。最後の追い上げとゴール後の涙に、先輩への思いがあふれた。【永田淳】