実業団の駅伝チームナンバーワンを決めるニューイヤー駅伝は来年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点に、県内を周回する7区間100キロで行われる。3連覇を狙うコニカミノルタと3年ぶりの王座奪還を狙う日清食品グループの「2強」が一歩リードするが、2年連続2位のトヨタ自動車九州、4年前に初優勝したトヨタ自動車、有力新人が加入したHondaにもチャンスがある。
【1区=12・3キロ】
今年は大卒ルーキーの当たり年だが、大迫傑(23=日清食品グループ)の力が1つ抜けている。大迫が1区に起用されれば日清食品グループがスタートダッシュする可能性が高い。大迫が3区に回れば混戦になるが、日清食品グループは若松儀裕(28)や村沢明伸(23)がこの区間に起用されても間違いなく上位でつなぐだろう。トヨタ自動車はシーズンを通じて練習が積めていない宮脇千博(23)を1区に起用する可能性もある。宮脇は2年前にこの区間で独走しており、その経験が生かせる。DeNAは上野裕一郎(29)が起用される見込みで、東日本予選同様ラスト勝負に持ち込めば区間賞が有力となる。
【2区=8・3キロ】
唯一、外国人選手を起用できる区間。DeNAのビダン・カロキ(24)が区間賞でトップに立つ可能性が高い。九電工のポール・タヌイ(24)、前回区間賞のNTNエドワード・ワウエル(24)らも区間賞候補。また日清食品グループ、コニカミノルタ、Hondaの外国人も実力があり確実に上位に位置するだろう。注目は小森コーポレーションのロナルド・ケモイ(19)。1500メートルでジュニア世界新を出したスピードは、駅伝史上最速となる。
【3区=13・6キロ】
前回区間賞の旭化成・鎧坂哲哉(24)が11月末に1万メートルで27分38秒99の今季日本最高をマーク。同チームには外国人選手がいないので2区で順位が下がる可能性が高いが、鎧坂が何人をごぼう抜きできるかに注目だ。選手層の厚い日清食品グループは大迫、村沢、矢野圭吾(23)、小野裕幸(28)と誰が来てもトップ争いに加わることができる。コニカミノルタも菊地賢人(24)か、新人の設楽啓太(23)のいずれかが起用される見込みで、上位に位置する力がある。トヨタ自動車は宮脇と新人の窪田忍(23)がこの区間の候補。トヨタ自動車九州も2年前の大会で区間2位だった小西祐也(24)が復調した。どのチームがトップに立っても、決定的な差はまだつかないと思われる。
【4区=22・0キロ】
最長距離を走る区間で、各チームがエースを投入する。アジア大会代表の佐藤悠基(28=日清食品グループ)が普段通りの調子なら、区間賞でトップに立つだろう。対抗できるのは区間記録保持者の今井正人(30=トヨタ自動車九州)で、佐藤が終盤でペースダウンするようだと、後半にも強い今井が逆転する。注目はコニカミノルタ。12月の福岡国際マラソンに出場したエースの宇賀地強(27)に代わって誰を起用するか。菊地と設楽が候補だが、実績のある佐藤と今井に食い下がることができるか。Hondaは佐野広明(26)と新人の設楽悠太(23)で3区と4区を担当しそう。どちらかの区間で、双子の設楽兄弟対決が実現するかもしれない。
【5区=15・8キロ】
コニカミノルタは2年前に伊藤正樹(25)が、前回は野口拓也(26)が区間賞を取っている。持ちタイムで他の選手を圧倒しているわけではなく、ニューイヤー駅伝に調子を合わせることで連続区間賞を可能にした。日清食品グループは優勝した3年前に区間賞だった高瀬無量(25)が起用されるか。5区以降は向かい風が予想されるが、Hondaは箱根駅伝の5区で活躍し、向かい風に自信を持つ新人の服部翔大(23)か。トヨタ自動車も前回区間2位で、国際千葉駅伝で日本の優勝に貢献した大石港与(26)がこの1年でスピードをつけている。
【6区=12・5キロ、7区=15・5キロ】
終盤の2区間は選手層の厚いチーム、ピークをこの大会に合わせられたチームが順位を上げてくる。コニカミノルタは6区に2年連続区間賞の新田良太郎(25)がいるが、今回は11日前に防府読売マラソン(12月21日)に出場するため、ニューフェイスが起用される可能性が高い。7区に宇賀地が起用されればアンカー勝負にも対応できる。日清食品グループは有力選手が豊富で選手が読みにくいが、東日本予選の走りを見る限り、村沢、矢野、佐々木寛文(24)の誰が来ても区間賞候補。トヨタ自動車九州も前回7区区間賞の渡辺竜二(26)がいるので、5区と6区の踏ん張り次第では優勝のチャンスがある。