トライアスロン カトちゃんのここだけの話

トライアスリートの力で海をきれいに!環境セミナーとビーチクリーンのイベント開催/加藤友里恵

『スポーツで海をきれいに!アスリートと一緒に環境について考えよう!』と題して、環境セミナー、ビーチクリーン、マリンアクティビティとプロキングを行うイベントを7月27日に地元である千葉県銚子市、銚子マリーナ海水浴場、千葉科学大学で開催した。

現役中から気になっていた環境に対すること。

引退後の2021年からイベントとして行ってきて今年で3年目となった。

今回も千葉科学大学はじめ、銚子海洋研究所の宮内幸雄さん、株式会社TKSの田村憲章さん、トライアスロン選手の古谷純平選手、榊原佑基選手、岩本敏選手、そしてマラソンの谷川真理さんのご協力のもと無事に開催することができた。

まずは環境セミナーから。

環境問題、地球温暖化と聞くと重苦しいイメージがあると思う。私も自分自身の海水アレルギーの経験がなければ、漠然としすぎていて手につかない問題だと思っていた。

セミナーでは、まずスポーツを中心に自分の身近なところからどのようなことが問題になっているのか、そして解決できるのかという部分に目を向けてみた。

夏の暑さで甲子園球児たちが熱中症になったり、マラソン大会で完走率が低下している。雪不足によるスキー大会が中止というのも問題視されている。

その中でも自然環境と密に接しているスポーツの代表トライアスロン競技は、さまざまな問題が取り上げられている。水質の問題、熱中症、大会で選手が使うペットボトルの大量ゴミ。

一気に変えることは難しいことかもしれないが、少しの意識で変わることはあると思う。

『スポーツで海をきれいに!アスリートと一緒に環境について考えよう!』と題した環境セミナー
『スポーツで海をきれいに!アスリートと一緒に環境について考えよう!』と題した環境セミナー

今回のセミナーでは、宮内船長と田村さんのお話しから、リアルな海の話しを聞けたりと私自身も気付かされることがたくさんあった。

身近なところだと、海水温の上昇により、今まで大漁だった魚がとれなくなってきているそうで、熱帯魚が銚子の海に泳いでいるくらい、海水温があがっているそうだ。

ゴミの種類も変わってきているという。

以前は空き瓶、缶が多かったものの、今は圧倒的にプラスチックゴミが多く、特に溶けきれないプラスチックゴミ破片が波打ち際にキラキラと光っている。

日常生活で自分たちがやっている行動が、実は自然破壊に繋がっていることもあるのだ。

トライアスロンの環境大使こと榊原選手は娘さんが生まれたことで環境に配慮してした取り組みをはじめたとのこと。水質に害のない洗剤を使用したり、子供に環境に興味をもってもらうために観葉植物を置いたり、自家栽培をしているそうだ。

古谷選手からは、トライアスリートの目線から、海外と日本の環境保全に対する違いを話してもらった。飛行機に乗る際、日本人アスリートはペットボトルの飲料水を持ち込むことが多いが、海外のアスリートはマイボトル(競技用のボトル)を持ち込む姿を見て、『思い返すと海外のアスリートはペットボトルをあまり使わないイメージだ』と話す。

アスリートラウンドにある水も瓶の地域もある。

岩本選手は逆に、今まで関心がなかったそうだ。私も感じるが、冒頭でも伝えたように、環境問題のスケールが大きすぎて、当事者意識が持ちにくいと思う。身近で感じている環境問題を共有することで、当事者意識が湧き、『そういえばこういうこともあったなぁ』と言う気づきにもつながったと話してくれた。

谷川さんは、なるべく整髪剤を使わないようにシャンプー、リンスの回数を減らしたり、ゴミを増やさないようにリユースできる容器を日ごろから使っている。ホテルで宿泊する際も、付属の歯ブラシやアメニティーは使わず、自分で持っていったものを使っているそうだ。

こうした少しの取り組みでも、積み重ねるととても大きなものになると感じた。

私も深く考えすぎたり、ネットで調べるといろいろ出てきて、何が本当なのかもわからなくなったりする。そのため、自分で感じたこと、聞いて気づいたことを自分なりに少し変化させてみる。それでも大きな変化になると思う。

ビーチクリーンでは、プラスチックゴミやタバコの吸い殻が多く見受けられた。子供たちに大人が捨てたゴミを拾ってもらうのは心苦しい部分もあったが、子供の頃からこういう取り組みをすることで、意識の高い子供たちが増えるという意味では良い機会だと感じた。

千葉県銚子市で行われたビーチクリーンなどのイベント
千葉県銚子市で行われたビーチクリーンなどのイベント

トライアスロン大会でいうと、WTCS横浜大会では、2007年に2009年大会からの開催が決まり、水質を改善して開催に至り、今となっては『毎年横浜の港がきれいになっている』と参加者が話すほどだ。

恥ずかしながら、選手時代は『横浜大会は環境保全に対する活動すごいな!』というだけで、そこに対して詳しく調べることはなかった。選手として競技させていただいている身として、環境を整えてくださっている方々のお力があってこそ、戦える場があるということに対してもっとアプローチするべきだったと反省している。今の現役選手たちには、選手のうちからそこの視点にも目を向けて、さらにプラスのエネルギーに変えてほしいと思う。

トライアスリートの力で海をきれいに!

トライアスロンが開催されるたびに、その地域の海がきれいになるように…

(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン日本代表)

(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「トライアスロン カトちゃんのここだけの話」)

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