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誰が代表でも金メダル候補、レベル高い日本の“ブレイキン”だが出場は男女各2人と険しい道のり

パリの名所、コンコルド広場を日の丸が染めるー。そんな景色が想像できる日本勢の活躍だった。24年パリオリンピック(五輪)の追加種目となったブレイクダンス(ブレイキン)の世界選手権がソウルで行われ、日本のダンサーが世界を席巻した。

2024パリ五輪新種目のブレイキンを披露した、手前左から米国のジェフリー・ルイス、SHIGEKIX、後方左からRAM、AYUMI、AMI、イタリアのアレッサンドラ・コルテシア(2022年10月16日撮影)
2024パリ五輪新種目のブレイキンを披露した、手前左から米国のジェフリー・ルイス、SHIGEKIX、後方左からRAM、AYUMI、AMI、イタリアのアレッサンドラ・コルテシア(2022年10月16日撮影)

女子の湯浅亜実(ダンサー名AMI、23)が2大会ぶりに優勝。前回優勝の福島あゆみ(同AYUMI、39)が3位に入った。男子の半井重之(同Shigekix、20)も2位で初めて表彰台に立った。

ジャッジとして大会に参加した日本ダンススポーツ連盟(JDSF)ブレイクダンス本部長の石川勝之氏(同KATSU1)も「パリ五輪に向けて、いいスタートが切れた」と、手応えを口にした。

特に、女子の強さは圧巻だった。世界40カ国114選手が参加する中、日本勢がベスト8に4人残り、3人が4強進出。15歳の津波古梨心(リコ)が4位、シゲキックスの姉彩弥(アヤネ、24)も6位に入った。

世界選手権は19年に第1回が行われ、今大会が3回目(20年は中止)。初代女王は湯浅で前回21年大会は日本勢同士の決勝となり、福島が優勝、湯浅が2位だった。さらに、津波古ら若手も成長。本家米国やフランスなど欧州勢を圧倒する成績を残してる。

昨年の東京五輪で大活躍したスケートボードの女子を思い出す。ストリートとパークの2種目を制し、6個のメダルのうち4個を獲得。それまで世界をリードしてきた米国やブラジルを圧倒して見せた。

「パリではブレイキンのメダル独占もあるんじゃない?」という声も聞こえてきたが、残念ながら出場できるのは1カ国男女各2人まで。トップレベルの選手が多い日本だけに、国内の代表争いは激しくなる。

パリ五輪の出場選手数は全体で男女16人ずつ。来年9月にベルギーで行われる世界選手権優勝者が、まず出場権を獲得する。続くのは、各大陸選手権(アジアはアジア大会)優勝者(世界選手権優勝者の国は対象外)。残る出場枠は、24年3~6月に行われる五輪予選シリーズ(OQS)上位者に与えられる。

1カ国男女各2人の世界選手権(今年は制限なし)の代表になることが、パリへの第1歩。OQS出場権は23年末の世界ランキングなどによって決まるから、ポイント対象となる大会に出るためにJDSFの強化選手になる必要がある。

強化選手になるため重要なのが、来年2月に行われる全日本選手権。その全日本への出場権がかかる「マイナビJDSFブレイキン・ジャパンオープン」は11月19日に行われる。パリ五輪への「バトル」は、すでに始まっている。

スケートボードも代表争いが激しかった。Xゲームなどで輝かしい実績を持つ選手が、ポイントが足りずに涙を飲んだ。新しい五輪競技、ブレイキンの代表争いも世界レベルで、誰がパリに行っても初代金メダル候補。ただ、コンコルド広場までの道のりは険しい。

【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIのOh! Olympic」)

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