北海道大谷室蘭逆転1勝 初陣佐々木チルドレン絶叫
<全日本高校バレーボール選手権(春高バレー):北海道大谷室蘭2-1安来>女子2回戦◇5日◇東京体育館
元日本代表の佐々木みき監督(41)率いる北海道大谷室蘭が2-1で安来(島根)を下し、現校名になって初の全国大会を逆転勝利で飾った。監督就任2年目で全国大会初采配を振るった同監督に、2枚エースの広瀬未佳(3年)が16得点、大久保亜美(同)が13得点と奮起し、初勝利をプレゼントした。今日6日の3回戦は、強豪・八王子実践(東京)と対戦する。
第3セット、24-20として迎えた北海道大谷室蘭のマッチポイント。広瀬のスパイクが相手選手のレシーブを許さず、コート外に弾んだ。佐々木監督が両手を天井に突き上げた。同時に14人の選手が「ヤッター!」と絶叫した。
15年春、当時コーチだった佐々木監督が室蘭とその近隣地域から現3年生8人をセレクトした。指導者として第1歩を踏み出し「ニタニタしている選手もいたし、大丈夫かなと思った」(佐々木監督)。夏の暑い日に「走れ」とだけ指示。学校の周囲を延々ランニングする練習を課した。大久保は「いつまで走っていいか分からず、水も飲めないのでつらかった。でも母に内容を言ったら『レオさん(佐々木監督の愛称)は昭和の練習をする人。死ぬ気でついていきなさい』と言われた」と振り返る。
体育館に戻っての1時間のレシーブ練習で、佐々木監督がスパイクを打った。この日、相手のスパイクを拾いまくったリベロ野呂佳采(3年)は「レオさんの重いスパイクを受け続けたんだから、高校生のスパイクなら大丈夫」と胸を張った。厳しい練習と引き替えに、強固な自信を身につけた。
前夜のミーティング終了後、佐々木監督は全員に「LINE」で共通のメッセージを送った。午後11時を過ぎたころ、3年生8人に個別の文面を追加した。入学前にセッター経験の少なかった和田あかね主将(3年)に「ここまで頑張ってきたね」「まだ頑固なところは気になるけど」と続けた。「今までを振り返ってくれる内容。このまま(出場するだけ)では終われないと思った」と和田。勝利へチームがまとまった。
今日6日、過去5度の優勝を誇る名門・八王子実践に挑む。「背も高いし、体格もいい。挑戦者として突っ込んでいきたい」と大久保。佐々木チルドレン一丸となって臨む。【中島洋尚】
◆北海道大谷室蘭高 室蘭大谷と登別大谷が統合して、12年4月に開校。昨年11月の全道予選では、代表決定戦準決勝で旭川実に2-1で勝ち、全日本高校選手権の出場権(2代表)を獲得。決勝では札幌大谷に0-2で敗れた。佐々木みき監督は登別大谷OG。