13年前屈辱知る竹内兄弟「一矢報いる」バスケW杯

【東莞(中国)8日=松熊洋介】13年前を知る兄弟が最終戦で未勝利の日本を、初勝利へと導く。

男子バスケットボールW杯で4連敗中の日本は、9日順位決定リーグでモンテネグロとの試合を残すのみとなった。7日のニュージーランド戦でW杯での歴代最多失点となる111失点で敗れた日本代表は疲れなどを考慮し、8日は自主練習のみとなった。

元気よく会場に現れたのは最年長34歳の竹内公輔(宇都宮)と竹内譲次(A東京)兄弟と比江島慎(29=宇都宮)の3人。リラックスした表情で練習した3人は時折笑顔を見せながら約1時間汗を流した。

06年大会(埼玉、当時は世界選手権)を知る竹内兄弟は男子バスケット界の成長を知る。竹内公は米国戦後に「06年の時はただ負けただけだった。今回は敗戦の中にも得るものがあった。(日本代表の)方向性は間違っていない」と語っていた。今大会は最年長として代表を陰で支えてきた。若手の台頭で出場時間には恵まれていないが、最後の試合にかける思いは強い。「7月からずっと一緒にチームを作り上げてきた。2カ月やってきたことを思い出してやりたい」と話し、自身のプレーについては「塁(離脱した八村)がいなくなって、チャンスは増えると思う。がむしゃらにやるだけ」と意気込んだ。

竹内譲もまた同じ思いを持つ。「06年は1つランクが上の相手と戦った感じ。今回は一矢報いたいと思ってやっている。10人になったが、アジア予選でやってきたものを出すいい機会。06年からの成長を結果で示したい」と熱く語った。

比江島も意識を変えた。アジア予選では、チームを引っ張って8連勝での自力出場につなげたが、八村、渡辺、ファジーカスの「ビッグ3」がそろった今大会はどこか控えめになる自分がいたという。「今までは塁に預ければ安心という思いがどこかにあった。ニュージーランド戦では(1次リーグの)負けを引きずって、切り替えができなかった。最後は自分が引っ張って日本のために点を取りに行く」と普段は淡々と語る比江島が、力強く語った。

渡辺が「恥」とまで言ったニュージーランド戦後、チームの雰囲気は一番悪かったという。竹内公は「もっとバスケットを楽しんでやろう」と仲間に声をかけたという。「下向いてばかりでは意味がない。見ている人にも失礼」。アジアは全チームが2次リーグ進出を逃した。モンテネグロ戦には目標としてきた日本のW杯での欧州勢からの初勝利がかかる。竹内公は「(アジアが)弱いと思われないためにも、何とか1つ勝って記録を作りたい」。バスケットが大好きな3人の熱い思いが、日本に勝利を届ける。

その他の写真

  • 休日を返上した自主トレで競り合う比江島(左)と竹内公(撮影・足立雅史)
  • 休日を返上した自主トレで調整する竹内公(左端)、比江島(右端)ら(撮影・足立雅史)