“八村2世”山崎一渉が決勝ゴール「信じられない」

  • 東山対仙台大明成 第1Q、ドリブルで上がる仙台大明成・山崎一(C)JBA

<バスケットボール・SoftBankウインターカップ全国高校選手権:仙台大明成72-70東山>◇男子決勝◇29日◇東京体育館

仙台大明成(宮城)が3年ぶり6度目の全国制覇を達成した。“八村塁2世”といわれる2年生エース、山崎一渉(いぶ)が試合終了5秒前に決勝のジャンプシュートを決め、72-70と東山(京都)を逆転で下した。

残り16秒で同点に追いつかれた。最後の攻撃、ボールを受けた山崎一がミドルシュートを放つ。リングに嫌われた。諦めない。自らリバウンドを拾う。ジャンプシュート。残り5秒。ノータッチでリングに吸い込まれた。第3クオーター(Q)を終えて13点のビハインド。追いつき、勝ち越し、追いつかれた激戦にピリオドを打ったのは、やはりエースだった。

涙を浮かべ、両拳を突き上げ、3年生に頭をたたかれた山崎一は言った。「3年生とやるのは最後なので、決めるしかないと思って打ちました。信じられない」。第1Q開始直後に3ポイントとドライブインを立て続けに決めたが、その後はリングに見放された。打ってもなかなか決まらない。それでも積極性を失わずにトライを続けた。ゴール下では東山の留学生、206センチのジャン・ピエール・ムトンボ(3年)と体を張ってリバウンドを争った。決定率は低かったが両チーム最多の25点、10リバウンド。ダブルダブルの数字以上の存在感だった。

OBの八村塁に憧れて明成に進んだ。「8」の背番号を引き継いでいる。ただ、全国50校を超える勧誘を断ったのは、それだけが理由ではない。松戸一中3年時の関東大会でチーム73点中67点を1人で挙げたが、敗退。試合は1人では勝てないことを自覚し、チームプレーの重要さ痛感した。だから、これまで数多くの名選手を育ててきた佐藤久夫監督(71)の下でバスケットを追究するために仙台での高校生活を選択した。

「自分を信じ、自分たちのチームを信じれば報われることです」。佐藤監督の目も潤んでいた。1年生で出場した昨年の大会は、準々決勝で北陸に敗退。八村を擁したチームが13年から達成した3連覇再現の夢が崩れ、山崎一は悔し涙に暮れた。それから1年。得意の外角からのシュートに加え、インサイドでの強さも身につけてチームを頂点に導き、感激の涙にほおをぬらした。199センチ、90キロのオールラウンダーが、日本一になった。

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