この大会は八村が出場辞退。世界最高峰NBAで活躍するエースが不在だったが、日本は一丸となって自力で切符をつかみ、対戦国のレベルが格段に上がる五輪に向けて、ホーバス監督が質問されていた。
「どう八村とコミュニケーションを取っていくか」
答えは、こうだった。
ホーバス監督「彼がやりたいなら、彼から声をかけてくるべきだ。私たちのスタイルは変わらない。彼が来るなら、うちのバスケットをやらせる。彼には入ってほしいけれど、やらないなら、このチームでいいチームをつくる。自信があります」
報道を通じ、この発言を知った八村が腹を立てたといい、関係悪化を知った協会は、会見の19日後に異例の補足、釈明に追い込まれた。
「会見当日の発言がホーバスHCの母国語ではない日本語での発言・対応だったことにより、本意とする内容とは若干内容が異なる形で広まってしまったことから、あらためて、その内容・真意についてご説明をさせていただくことを目的とするもの」として、重ねての誤解がないよう、ホーバス監督の談話を、英文で、書面を出した。
JBAが参照用として用意した日本語訳によると「私の発言が、私の意図とは違う意味でメディアによって報道されていることに気付きました。また日本語の表現も少し違っていた部分があり、誤解のないように英語で訂正した方がいいと思いました」。
続けて「私が日本語で、もし代表チームでプレーしたい場合は『彼が私たちに電話するべきだ』と言ったことは、八村選手の日本代表での将来について混乱を招いてしまいました。実際のところ、JBAは八村選手や彼のマネジメントチームと定期的に連絡を取り合っていますし、彼はいつでもチームジャパンでプレーする権利を持っています。彼のこの10年間に渡る代表への貢献は、チームジャパンの成長には不可欠なものでした」と釈明した。
1年2カ月後。関係はこじれたままだった。過去発言は尾を引き、今年6月に米ロサンゼルスで直接面談した後も、収拾がつかなかった。
この日、日本協会の会長や技術委員長ではなく、選手として矢面に立ち、両者の“仲裁”に入った渡辺は、次のように明かした。
「その後、僕はすぐ塁に連絡を取って、あの時のトムの発言内容は塁を敵にする発言ではなかった、と説明したんですけど、塁からすれば『仮にそうだとしても、世間からそう思われている時点でトムの発言はまずかった』と話していました」
以降も継続的にコミュニケーションを取ってきたが、手打ちには至らず。八村が突如、今月13日(日本時間14日)に米国から発した体制批判によって、不仲が表面化した。