ラグビー

南ア、ミス連発もフィジカル勝負で優位/ 沢木敬介

<ラグビーワールドカップ(W杯):南アフリカ19ー16ウェールズ>◇準決勝◇27日◇神奈川・日産スタジアム

南アフリカは、本来のできではなかった。ウェールズの22メートルラインを越えてからノックオンなどミスを連発。徹底してキックを使ったが、ほとんど再獲得できなかった。今大会100パーセントの成功率を誇ったラインアウトも初めて失敗した。波に乗れないまま相手に粘られ、接戦になった。

ウェールズに勝利し喜ぶ南アフリカフィフティーン(撮影・鈴木みどり)
ウェールズに勝利し喜ぶ南アフリカフィフティーン(撮影・鈴木みどり)

最後の最後に突き放せたのは、前半から強みのフィジカルで勝負を続けていたから。それがボディーブローとなり、相手を消耗させた。リザーブ選手のレベル差もあった。南アは後から出てくる選手がトップレベルだったから、終盤にスクラムで優位に立てた。

決勝トーナメントは負ければ終わり。ボーナスポイントのためトライを狙うこともなく、相手を1点でも上回ることだけを考える。W杯らしい、ひりひりするような点の取り合いは見応えがある。南アのできがいまひとつだったとはいえ、粘り強く接戦に持ち込んだウェールズはさすが。「ザ・テストマッチ」といえる内容の濃い試合だった。(前サントリー監督)

モールで押し込む南アフリカ(AP)
モールで押し込む南アフリカ(AP)

◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田県男鹿市生まれ。秋田経法大付(現明桜)高—日大を経て98年にサントリー入り。SO、CTBとして活躍した。06年から6年間、サントリーでコーチを務め、13年にU—20日本代表監督に就任。15年W杯ではコーチとして南アフリカ戦勝利に貢献した。16年にサントリー監督に就任してトップリーグ連覇後、昨季限りで退任した。

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