ラグビー

イングランド優位「相手動かして蹴る」/沢木敬介

ラグビーW杯決勝(2日・日産スタジアム)に向けて、イングランドと南アフリカの両チームが31日に登録メンバーを発表する中、前サントリー監督の沢木敬介氏(44)はイングランドの優勝を予想した。フィジカルを生かしたスタイルを貫く南アフリカに対し、イングランドが相手の弱点を突いた戦術で優位とした。「動かして蹴る」スタイルの母国が、4大会ぶり優勝で1カ月半の激戦を締めくくる。

イングランドのエディー・ジョーンズ監督
イングランドのエディー・ジョーンズ監督

  ◇    ◇    ◇

イングランドも南アフリカもベストメンバー。見どころの多い、見ていて楽しい決勝戦になるはずだ。イングランドは準決勝のニュージーランド(NZ)戦と同じ布陣で、SOフォードとCTBファレルは変わらない。南アフリカはWTBコルビが復帰。戦力的に大きなプラスになる。

南アは自分たちのスタイルを崩さず、徹底して戦っている。自陣でボールは持たずにコンテスト(競り合いの)キックを蹴り、再獲得を目指す。敵陣に入ってから強いフィジカルを生かした攻めを続ける。SHデクラーク、SOポラードが早い段階で蹴るはずだ。

イングランドもキックは多用するはず。ただ、すぐにコンテストキックを蹴ることはない。まずは南アをパスで動かす。すると相手のバックスの背後にスペースができる。そこをフォードらがキックで突く。つまり「相手を動かしてからキック」。南アの特徴を見極めた戦術で戦うはずだ。

スクラム、ラインアウトなどのセットプレーは、やや南アが有利か。ただイングランドも安定していて、大きな差にはならないだろう。勝負を分けるのはキック。南アは再獲得を狙ってハイボールを蹴るが、イングランドのWTBメイやワトソンらは処理がうまい。ここでボールを獲得できなければ苦しくなる。

イングランドは敵陣深くに入ってから多彩な攻撃を持っている。22メートル以内に侵入した時にトライやPGで得点するパターンが多く、それを相手によって使い分けられる。南アは一発の突破力のあるコルビがいるとはいえ、フィジカルを前面に押し出すパターンを貫いている。アタックのバリエーションが豊富なイングランドの方が有利に思える。

過去の対戦成績で分が悪いイングランドだが、準決勝でNZを破ってムードはいいはず。逆に南アはウェールズに苦戦したことが、どう響くか。今大会最後の試合を楽しみにしたい。

◆3位決定戦 3連覇を逃したニュージーランド(NZ)にとっては、モチベーションを保ちづらい試合になる。ウェールズはNZを倒して過去最高の3位になるという目標が明確で、精神的には戦いやすいといえる。ただ、それでもNZの優位は動かない。準決勝からメンバーを入れ替えてはいるが中心選手は残っており、今大会最後のゲームを勝利で締めくくる準備はできているはずだ。

◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田県男鹿市生まれ。秋田経法大付(現明桜)高—日大を経て98年にサントリー入り。SO、CTBとして活躍した。06年から6年間、サントリーでコーチを務め、13年にU—20日本代表監督に就任。15年W杯ではコーチとして南アフリカ戦勝利に貢献した。16年にサントリー監督に就任してトップリーグ連覇後、昨季限りで退任した。

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