<ビックカメラ高崎投手/上野由岐子(33)>

 先日、東京五輪・パラリンピックで、野球・ソフトボールがIOCに提案される5競技の中に入りました。まだ正式に決まったわけではないのですが、素直にうれしいです。まだ現実味はないので「うれしい」という感情だけですが、もし五輪競技に正式に決まった時に、違った気持ちも出てくるのではないかなと思います。盛り上げておいて、最後に落ちちゃったら「なんだったの?」って思ってしまうので、自分自身でもあまり期待しすぎないようにしています。

 ただ、五輪競技になってほしいって気持ちは強いですよ。子供たちの夢でもあり、私たちにとっても最高峰。だれもが夢見る舞台ですから。

 東京で五輪が行われるっていうのは、スポーツ選手じゃなくても楽しみなこと。もし自分がアスリートじゃなくても、何かしらで携わりたい。あと5年というわくわくした気持ちもあります。

 選手として監督に信頼してもらって、大事な場面で使ってもらえるのは一番のやりがいです。その思いは常に持っている一方で「自分1人では…」という気持ちもある。変な言い方かもしれないけど、上野がいなくて勝てるっていうのにこしたことはない。だからといって必要ないとか言われるのは寂しいし、なんともいえない感情ですね。

 テレビで五輪を見ても、寂しさはありませんでした。北京でやり切った思いがあったし、結果も残せた。締めくくれたくらいの気持ちでしたから。あの時は、眠れないこともなかったですね。これで負けたら仕方ないって自負があって、腹をくくって挑みましたし。

 日本のソフトボール全体での底上げと、もっと自分がうまくなるということは相反することではなく、比例することだと思います。後輩に対して、ピッチングに関しては気づけば言いたくもなります(笑い)。教えるのは簡単だけど、気づいて欲しい、考えてほしいって思いもあるんです。

(2015年10月14日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。