<日本ラグビー協会GM/岩渕 健輔(39)>
7人制ラグビーが五輪の正式種目になり、大きく変わったのは女子です。正式種目になった10年にアジア大会があり、5位だった。これは世界でいうなら何十位。これでは五輪では勝てない。11年から一気に強化を進め、現在は世界で11番目、アジアではランク1位になった。強化費も正式種目になる前に比べれば、10倍ほどにもなっている。
一方で男子の7人制については、国内に(15人制の)トップリーグ(TL)があるおかげでアジアでは勝てる。問題点はサッカーに似たところがあって、国内リーグの貯金だけじゃ世界では戦えない。今の状態で世界と戦うには、W杯イングランド大会のエディー・ジャパンがやったように、かなりの日数をかけて強化をしないといけない。実際にリオデジャネイロ五輪に出るため、アジア予選(11月7~8日、香港)に向けては5月から100日を超える日数でやっている。
実はラグビーの競技人口は世界で5、6番目に多い。イングランド、南アフリカ、フランス、ニュージーランドの次くらい。問題はトップアスリートが少ないこと。日本では小学生の多くが野球かサッカーを選ぶ。ラグビーは高校から始める人も多く、代表チームでも半分くらいいる。トップアスリートの数や競技年数が、他国に比べて少ない。
これを解決するため、協会としてはラグビー教室を開いたり、学校にチームを作ってもらうなど全国的に協力も得ている。楕円(だえん)球に小さい頃から触れてもらい、1人でも多くのアスリートに可能性を持たせることが目的です。いいきっかけとして、今回のW杯でラグビーを知ってもらえたと思う。8強には行けなかったが、世界にアピールできたという意味では結果を残してくれた。
7人制ラグビーも来年の五輪に男女そろって出て(男子は出場決定)、人気を加速させたい。そしてメダル獲得が目標。当然難しいというのはあるが、五輪に行けば、予選で4チーム中2番に入れば決勝トーナメントに行ける。そこでもう1回勝てばベスト4です。メダルの可能性は競技の仕組みとして、15人制よりもある。特に女子は世界の強豪が集うワールドシリーズで8強に3回進んでいる。まずは今月28、29日のアジア予選日本大会(秩父宮)で五輪切符をとり、半年でどこまで仕上げられるかが課題です。
(2015年11月25日東京本社版掲載)
【注】年齢、記録などは本紙掲載時。