<盛り上げへ団体戦も 五輪ゴルフ対策本部強化委員長 倉本昌弘(60)>
リオデジャネイロ五輪では112年ぶりにゴルフ競技が復活します。個人競技ですが、国内予選会などはなく、代表は7月11日付の世界ランクに基づいて決められ、おそらくどの競技より最も遅く、つまり五輪の直近に代表選手が決まるといえるでしょう。五輪というとアマチュア競技の祭典のイメージがある中、プロばかりの戦いになります。日本では松山英樹(24)は当確。男子のもう1人と女子2人は、ぎりぎりまで争いが続くはずです。客観的にみても、松山はメダル争いをする可能性が十分にあります。
五輪競技への復活は、ゴルフ業界として大きなチャンスととらえています。日本では現在、ゴルフ人口は全人口の7%とされ、普段のプロの試合を見る人も限られます。でも、五輪は国民的関心事です。日の丸を背負った選手が頑張れば、これまでゴルフに興味のなかった方々も、テレビ中継を見て応援してくれる。その中で「ゴルフって面白いな」「ゴルフをやってみたい」と思う人が増えてほしいと期待します。
昨年、ラグビーW杯で日本代表が活躍したことで、それまでラグビーを見たことがない方々も興味を持ったでしょう。ルールが分からなくてもいい、まず見ていただきたい。特に子供たちにです。五輪がそのきっかけになってほしい。ゴルフの経済効果は、ゴルフ場の運営や雇用、用品の売り上げなど年間1・4兆円といわれます。これを高めることが、日本経済の一助になるとも感じています。
そして、4年後には東京五輪です。リオでは個人戦だけですが、東京で国として戦う団体戦が実現すればもっと盛り上がるはず。五輪の規定の制限もあるし、主催国としての発言権がどこまであるか分かりませんが、何かアピールできたらとは思います。同時に8年後、12年後の五輪を見据えて、アマチュアの強化=将来のプロの強化、に本腰を入れるべきと考えます。五輪に向けて他の国、他の競技がやっているように、子供の頃に才能を見いだし、育成するシステムができればと願っています。
(2016年4月6日東京本社版掲載)
【注】年齢、記録などは本紙掲載時。