<株式会社ニトリHD 代表取締役会長兼CEO 似鳥昭雄(72)>
72歳になった今、自分の死後も含めた計画を考えています。生きているうちの計画と、死んだ後の計画です。ロマン(志)とビジョン(長期目標)を持って、その時、世界はどうなっていたいか、そのためには今の日常をどういう目的意識で過ごすのか。その逆算と、未来を思い描くビジョンがとても大切です。
人口が減り、高齢化社会が進む日本で、大切にしたいコンセプトは「健康と美」であると、私は考えています。その年代をいかに楽しく暮らすか。そのために年齢に応じた美しさを目指す、もしくは美しさ、健康を体現することにあるのではないかと。私の年齢は70代ですが、精神的には20代だと自負しています。実際に20代の社員と会話をしても何の戸惑いもありません。どんなに若い社員とも、同じ価値観を感じられるだけの感性を、常に喜びを持って磨いている、そういう実感の中にいます。
そんな中で思い当たったのがスポーツが持つ無限の力です。昔は企業がスポーツ選手を抱えても、支出がかさばるばかりと捉えていましたが、ここ10年間で考えは変わりました。スポーツ選手を会社に招き、そして成長の過程を楽しみ、育成を見守りながら、試合での選手の活躍を応援する。私どもの会社は社員が4500人、パートの方も含めると世界中に2万5000人の方が働いています。当然、海外で頑張っている社員もいる。それが、選手の戦う姿を応援することで、遠く離れていても、社業で忙しくても、私生活で大変な思いをしていても、1つの思いを共有できるんです。
そんな瞬間に、自分の細胞が元気になる感覚が体の中から湧き上がってきます。男性ホルモンや女性ホルモンが活発になって、社員の皆さんが内面から輝いてくるんです。ニトリ女子ランニングチームは、「健康経営宣言」をしているニトリの大切な財産なんです。
社員が仕事でも家庭生活でも豊かさを実現することが、日本の「健康と美」につながると思い、社業に取り組んでいます。72歳の私は、死ぬまで現役です。
(2016年4月13日東京本社版掲載)
【注】年齢、記録などは本紙掲載時。