<J1大宮アンバザダー 塚本泰史(31)>
実は本気で20年の東京パラリンピックを目指そうと思っていた時期があったんです。出るためにはどうしたらいいかとか関係者に問い合わせたりして、人工関節は国内の大会なら出られるけど、国際大会だと出られないって聞いて、諦めざるを得なかったんですけどね。でも病気をしてからパラリンピックに興味を持っていて、今回のリオデジャネイロ五輪が終わってからパラリンピックも欠かさずに見てました。単純にすげーなと思って。感動だとか勇気、パワーをすごくもらえますよね。
僕は、10年1月に右膝に骨肉腫が見つかってから、もう1度ピッチに立つことを目標に毎年、チャレンジを続けています。今年は大宮の本拠地NACK5スタジアムから佐賀県小城市まで約1200キロを8日間かけて自転車で走破することに挑戦しました。最初は本当にたどり着けるのかなと不安になって。毎朝6時に出発して、夜19時か20時くらいまでこぎ続けました。1日終えて宿舎で振り返っても覚えていないくらいの距離を必死に走って、何とか達成できました。
今回のチャレンジでは、サポーターも朝から見送りに来てくれたりとか、道中でもサプライズで出てきてくれたりとか。疲れている時に応援してくれたのはすごく元気になったし、すごくうれしかった。がんと闘うフットサルの久光重貴選手や鈴村拓也選手とも会ってパワーももらえました。
この6年間を振り返ると、もう1回ピッチに立つために本気で努力してきたのかな、もっとやることいっぱいあったんじゃないかなと思ったりもするんです。ただ振り返ってばかりもしょうがない。右足を重点的に鍛えて、これからもピッチに立つという目標に向かって頑張っていきたいと思います。
やっぱりスポーツの力ってすごいですよね。パラアスリートの皆さんは、元々は体を動かしていた人が多いと思うんですけど、障害を抱えても何かしら夢や目標を見つけて、それに向かって努力している。自分自身もそうですが、スポーツは、障害を抱えながらも前向きに生きる力になります。選手として五輪・パラリンピックに関わることは難しいかもしれないですけど、スポーツをやっている身として何かに携わって東京五輪・パラリンピックを成功させたいですね。
(2016年11月16日東京本社版掲載)
【注】年齢、記録などは本紙掲載時。