<冬季五輪フィギュア2度出場 振付師 村主章枝(36)>

 14年11月に現役を引退。その後は振付師として子どもたちにフィギュアを教えています。先月15日には写真集「月光」を発売しました。5位入賞したソルトレークシティー五輪のプログラムだった「月光」の曲をかけて、68年ぶりのスーパームーンの夜に三宅島の海岸で踊りました。ヌードもありますが、女性に美しいと言ってもらえたらうれしいですね。

 世界のトップを目指そうと思ったのは15歳の時でした。振付師のローリー・ニコルを見て「この人みたいになりたい」と。そして98年の長野五輪。母国開催の五輪ですから絶対に出たかったんですが、かないませんでした。5位に終わったソルトレークシティー五輪では、自分にはまだ技術が足りないのが分かっていました。

 06年のトリノ五輪では、自分の持っている力は最大限、出せました。でも、何かが足りずに表彰台を逃して4位。その何かを探すためには、同じ五輪の舞台に出るしかないと思って、ひたすら五輪にこだわりました。10年のバンクーバー五輪は、予選でふがいない出来が続いて出場できませんでした。「ここが最後では嫌」と続けたら、また、4年がたっていました(笑い)。

 そして14年11月に引退を発表。指導者のオファーをいただいて、規定で現役を続けながら指導は出来ないので「今が、そのタイミングなんだな」と。日本の女子フィギュアは、今は大変です。昨季は世界選手権で表彰台に上れなかったので選手たちに頑張ってほしいですね。今、12~16歳くらいの子に教えていますが、結構有望株がいます。22年の北京五輪を狙える選手もいます。自分が振り付けた選手がメダルを取ってくれたら、私の夢が実現することだから、とても意味のあることだと思います。

 長野出場を逃した私から見ると、東京で五輪が開催されるのは素晴らしい。五輪を通じて日本の文化を発信したり、海外の文化を取り入れて視野が広がればいいですね。東京五輪で、自分に何ができるか考えるんですが、興味あるのは応援団長。松岡修造さんみたいに、吹っ切れた応援団長になれたらなんて、思います(笑い)。

(2017年3月1日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。