3月1日に馬事公苑の苑長に就任したばかりです。前回の東京五輪の舞台となった世田谷の馬事公苑は、20年の五輪に向けて改装中。機能を栃木県宇都宮市に移しています。

 私も父が厩務員をやっていたことがきっかけで、小学3年生ころから乗馬をやり、高校、大学、そしてJRAに入会後も馬術競技をやっていました。五輪ではメダルに手が届きませんが(1932年のロス五輪で西竹一が金メダルを取ったのが唯一)、やはり欧州の層は厚いんです。私が世界選手権に行ったとき、ドイツの家庭ではポニーを飼っていました。幼いころから馬に接して乗っている。それだけ欧州諸国では、馬は身近な存在なんです。

 世田谷の馬事公苑は、20年に五輪競技場として再オープンし、その2年後くらいに一般公開の予定です。五輪を開催した場所というのは、選手にとってあこがれの地です。選手時代、私も馬事公苑はあこがれの場所でした。一般公開後はそういう競技会場としての興味と同時に、馬と気楽に接することができる場所にしていきたいと強く思っています。馬と身近に触れ合えることが、馬術競技の発展になると思います。

 なかなかメダルに届かない日本の馬術競技ですが、選手の質はかなり向上しています。競馬を見てください。ひと昔前は日本の競走馬は世界でなかなか勝てなかった。それが今は世界を舞台に活躍しています。馬術の方も同じです。1歩ずつ階段を上がっているのは間違いありません。ほんの少しでも、その手助けになるものにしたい。素晴らしいものにしなくてはいけないというプレッシャーはありますが、馬事公苑をそんな施設にしたいと強く思っています。

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