9月1日、ジャカルタで行われたアジア大会で金メダルを獲得することができました。相原(翼)くん(レバ)と挑んだ決勝は日本コールと、イランコールでいつもと違う雰囲気。今までの大会は個人戦で「自分という人間を認めてもらいたい」と思っていましたが、今回は日本代表として戦う気持ちが強かったです。
大阪の吹田東高を卒業するまでは、ごく普通の生活でした。中学3年間はソフトテニス部で、高校はサッカー部のボランチ。サッカーゲームの「ウイニングイレブン(ウイイレ)」も、友人とやる程度でした。
当たり前のように将来はサラリーマンになると思い、近大の経営学部に入学。周りが多種多様な世界で頑張るのを見て、自分にしかできないことを探しました。ちょうどその時に見つけたのがウイイレ優勝賞金20万ドル(当時2300万円相当)の広告。塾講師や派遣のアルバイトでお金をためて秋にプレイステーション4を買い、当時は想像しなかった今があります。
24年パリ五輪でeスポーツが正式競技となる可能性があるようですが、実感はあまりないです。それでもアジア大会に参加し、20年東京五輪を戦う選手のみなさんの苦労を知りました。特に出発前に講習を受けたドーピングは未知の世界。これまで普通に熱が出たら薬を飲み、食べ物も気にしていませんでした。実際の検査はありませんでしたが、日々それだけのことを考えて競技に打ち込む選手の大変さが身に染みました。
今の日本の感覚は「eスポーツか。ゲームね」。それを理解した上で、私は「メンタルのスポーツ」だと思っています。例えば自宅で画面に向かうオンライン対戦では強くても、相手と対面になると力を発揮できない選手がいます。相手の表情を実際に見ながら揺さぶりをかける。イライラしているのを見ればボールを長く持ったりと、そこが面白さだと思っています。
来春の卒業後はeスポーツ関連の仕事をします。サッカーがうまくなかった私のような人にとって、新しい選択肢になるような環境をつくりたいと思います。
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