「スマイルジャパン」は6位で平昌五輪を終えた。世界ランキング9位の女子日本代表は、同6位で前回ソチ五輪銅メダルのスイスと5、6位決定戦で対戦し、0-1と敗れた。98年長野、14年ソチ五輪ともに5戦全敗だったが、今大会は五輪初勝利を含む2勝3敗だった。
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女子アイスホッケーが健闘した。前回のソチ大会は5戦全敗の最下位、得点6、失点16が今回は2勝3敗で6位、得点8、失点8。韓国と北朝鮮の合同チームという力の落ちるチームがいたとはいえ、世界の「第2グループ」にいるのは確か。スイス戦も敗れはしたがシュート数では20対14と上回った。開催国だった98年長野大会を除けば、前回のソチに続く「2回目」の世界挑戦で、結果を残した。
目標は「メダル獲得」だった。参加8チームだから出場した時点で入賞(8位以内)確定。掲げる目標は「メダル」しかない。前回も同様だったが、現実的に「メダル」は見えていなかった。今回も遠かったけれど、まったく見えなかったものが少し見えてきた。大切なのは、その距離を少しずつでも縮めることだ。
「なでしこジャパン」に似ている。女子サッカーも当初は競技人口も少なく、環境にも恵まれなかった。それでも先駆者たちは夢を求め、戦い、強くなった。認知もされて人気競技となった。引退していたFW久保は澤穂希に刺激されて復帰した。「澤さんは憧れで、目標」と公言する。「スマイルジャパン」が目指すのは「なでしこジャパン」のストーリーだ。
サッカーは96年アトランタ大会で初出場、運動量と素早いパスで健闘したが3戦全敗に終わった。2回目の04年アテネ大会でスウェーデンから五輪初勝利を挙げた。08年北京大会はメダルは逃したもののベスト4入り。12年ロンドン大会は前年のW杯初優勝の勢いに乗り銀メダルを手にした。少しずつ、確実に世界との差を詰めていった。
なでしこジャパンが成功したのは、80年代の初期から「日本と世界の差」を分析して「日本らしさ」を追求してきたから。監督が代わっても軸はぶれず、運動量とパスにはこだわってきた。それが世界一につながったのだと思う。アイスホッケーもソチと平昌の経験を次の北京につなげることだ。その「歴史」があれば必ず世界にも勝てる。
国際アイスホッケー連盟(IIHF)は、次回の北京大会から女子の参加を10チームに増やす方針。女子競技の普及と競技力向上を目指すという。これも、30年前のサッカーと似ている。なでしこジャパンにできたことは、スマイルジャパンにもできるはずだ。【荻島弘一】