毎日毎日、目が回りそうだ。忙しいからではない。テレビで見ていると、冬は実に回転する競技が多い。この日もスノーボード・ビッグエア男子予選にフィギュア女子SP。「今のは何回?」など、テレビの前でも回転数が話題になる。
スノーボードのビッグエアはすごかった。予選から大技の応酬。大久保は4回転を立ったが予選落ちし、国武は高得点連発に焦ったのか2回ともミスした。ハーフパイプの平野は連続4回転、フィギュアの羽生は4回転、体操の白井も床運動で4回ひねり…。競技が違うから単純に比較するのもバカげているが、ビッグエアの5回転はすごい。
気になったのは、男女のレベル差。男子は4回転でも予選落ちし、女子は藤森が2回転半で2位通過。回転数だけではなく、女子の後に男子を見ると、豪快さがまったく違う。ハーフパイプでも高さ、回転数とも別次元に感じる。
アイスホッケーは男子と女子でルールが違う。パック保持者に並走する守備選手を見ると「当たれ!」と思うけれど、女子はボディーチェック禁止。男子を見慣れると、物足りなさは否めない。カーリングも同じだ。日本は男子が8位で敗退し、女子は準決勝に進出したが、ショット成功率は男子の81%に対して女子は75%。女子なら拍手もののダブルテークアウトも、男子は当たり前。トリプルまで飛びだす。迫力では圧倒的な差がある。
冬季大会は夏季大会に比べて男女差が大きいように感じる。特に、新種目では顕著だ。まだ女子の競技として未成熟で競技人口も少なく、技術レベルが男子に追いついていないのかもしれない。ノルディック複合などは女子に門戸が開かれていない。ジャンプも団体があれば、日本は金メダル最有力なのだが。20年東京五輪では女子の選手数は全体の49%になる見込みだが、平昌大会の女子は41・6%。まだまだ女子に「冷たい」のが冬季五輪だ。
ただ、女子競技なりの良さはある。男子にはない繊細な動き、パワーに頼らない細かな技術、戦術、表情やしぐさに「キュン」とするのも楽しみの1つかもしれない。反省しながら思うのは「男子と比べても仕方ないし、意味もない」ということ。終盤戦、まだまだ続く女子の活躍を、楽しみながら応援したい。【荻島弘一】