【金足農連載〈9〉】兄を超える!輝星と大輝 吉田兄弟の共通点と違い

金足農のエース吉田大輝投手(2年)は、オリックス吉田輝星投手の弟です。甲子園で準優勝に導いた兄の後を追うように金足農に入り、昨秋の秋田大会では、兄の時代以来となる県大会優勝を果たしました。春季大会は初戦敗退となりましたが、今夏には6年ぶりとなる甲子園出場の期待がかかります。さて、大輝の魅力とは? 兄との共通点、そして違いとは? 吉田大輝の現状に焦点を当てました。

高校野球

地元秋田の大歓声

金足農が春季大会に臨む3日前の5月8日、秋田・こまちスタジアムは大歓声につつまれていた。

オリックスに移籍した吉田輝星が、地元に戻って登板した。7回に3番手としてマウンドに向かうと拍手が起き、「ピッチャー吉田」とアナウンスされると歓声が沸き起こった。

5月8日の楽天戦で投球するオリックス吉田

5月8日の楽天戦で投球するオリックス吉田

1死満塁のピンチを招いて、茂木の二ゴロで1点を失った。地元に拍手で迎えられたことに、吉田は「うれしかったですし、だから、なおさら抑えたかった」と話した。

監督の中泉一豊はスタンドから声援を送った。

「生でも見ましたし、録画したものも見ましたけど、際どい球が、やっぱりボールだったんで、そこの決め球、勝負球が決まっていけばとは思いましたね」

5月8日の試合前、こまちスタジアムのマウンドで高校時代の侍ポーズを披露するオリックス吉田

5月8日の試合前、こまちスタジアムのマウンドで高校時代の侍ポーズを披露するオリックス吉田

弟の大輝は、練習があり、大会直前でもあって観戦は控えたが、帰宅してから動画を見たという。

「動画で見ましたけど、秋田の皆さんに応援してもらい、励まされているのがよく分かりました。自分も、それぐらい応援される選手になりたいなって思いました」

輝星はその後2軍調整になっているが、再びチャンスが巡ってくるだろう。大輝にとっては、兄の姿から学ぶところは多い。

「やっぱり気迫があって、それでも冷静っていうか。そういうのを学んだので、そこは生かしていきたいです」

春季大会は初戦の2回戦で大館鳳鳴に敗れたものの、大輝は秋田大会に優勝した昨秋から成長している点は多い。

大輝が言う。

「今回の試合では発揮できなかったですけど、メンタル面は成長できたかなと。あとは追い込んでからの真っすぐのキレは、成長していると思います」

吉田大輝のピッチング

吉田大輝のピッチング

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。