【日本ハム達孝太】雄弁11,569字 カテゴリー別の投球論を執筆中/連載〈54〉

「達はすごい」。日本ハムの若手投手陣がよく口にする言葉です。21年ドラフト1位の達孝太投手(20)は、膨大な知識をフル活用して進化を続けています。1軍登板は22年の1試合のみですが、3月のオープン戦では自己最速を更新する155キロを計測するなど、着実に進化しています。目標は目先の1勝ではなく「15勝できる投手」。今回は転機となったあの名投手のYouTubeや、メジャー挑戦への思い、そして衝撃の執筆活動の全容などを惜しげもなく明かしてくれました。

プロ野球

◆達孝太(たつ・こうた)2004年(平16)3月27日、大阪府出身。小学4年から軟式野球チームに入り、中学では泉州阪堺ボーイズに所属。天理高に進学し、3年春のセンバツ大会に出場。宮崎商との1回戦で完投。2回戦の高崎健康福祉大高崎戦では2安打完封、仙台育英との準々決勝は8回3失点と好投。21年のドラフト1位で日本ハムに入団。休日はトレーニングとコンディショニングに充てる。今季は本拠地エスコンフィールドでの春季教育リーグで最速155キロをマークした。194センチ、99キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1000万円。

2月の紅白戦で力投

2月の紅白戦で力投

「ダラダラやるのが好きじゃない」

――若手投手がみんな「達はすごい」と言っている。早朝からの散歩など真相は

1日の流れ。最近は6時ぐらいですね、起きるの。で、起きて、お風呂入って。有酸素する時は有酸素して。ご飯食べて。で、ご飯食べ終わって練習までの時間空いてるので。コンディショニングして。練習してお昼ご飯食べて。そっからは普通だと思います。

――練習までにゆっくりする時間はつくらない

そうですね。逆にゆっくりする時間がなんであるのかなっていう。なんて言うんですかね、ダラダラやるのが自分あんまり好きじゃないので。もう朝からバッてやって、昼すぎぐらいで終わるのが一番好きなので。

――高校生の時からそうですか

いやでも、高校の時は正直だらだら。野手と全員一緒に練習を終わらないといけないっていうのがあったり。

そういう無駄な練習が多かったので。無駄な練習が多かったことで、いま自分でスケジューリングをして、できるってなった時に、スパッと終われるなら終わりたいなっていう。

――それでも6時は早いですね

気持ちじゃないですか。気持ちだと思いますけど。

――基本的には1人でコンディションを整える

そうですね。誰かとやると、なんか人に勝てば終わりみたいな。なんか勝とうとする自分がいるじゃないですか。

なんかそう、そうっすね。それが良くないなと思って。それだと、その人に勝って終わりっていう。なんて言うんですかね、先しか見えなくて。でも、自分1人だったら、自分に勝っていけばどんどん先が見えてくるわけで。日々成長していくじゃないですか。なので、その成長した自分に勝つっていうのも、またさらに成長になるんで、なんか自分はそれが得意なのかなと。

――自分に勝つというのは限界を超える、というイメージか

そうですね。それがなんか自分は得意です。でも、それが行き過ぎて良くないことも多々あったりするので。故障のリスクが高まる。そこは良くないなと思うんですけど。ある程度(自分に)勝てないと。成長したいなと思ってるので。

――幼い頃から1人遊びみたいなのは好きだった

まあ、あんまり友達がいなかったんで。そうっすね、あんまり友達いなかった。高校はほぼ1人で練習することが多かったです。あんまり周りの熱量と合わなかったのもあると思うんですけど。

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野球

黒須亮Ryo Kurosu

Tokyo

1998年5月、茨城県古河市出身。23年入社。古河三高から2浪の末、「おもしろそうだから」という理由で出願した立大文学部キリスト教学科に入学できた。ゼミは「キリスト教音楽論」。立大野球部ではDeNA中川颯投手が2学年上、楽天荘司康誠投手が同期。リーグ戦出場には遠く及ばなかったが、現在プロや社会人野球で活躍されている選手やマネジャーと過ごした4年間は貴重な時間だった。趣味は母がオペラ歌手だった影響から舞台観劇。また、幼少期からMLBが大好き。24年5月にドジャース大谷翔平投手と同じマットレスを購入するなど、とりあえず形から入る。