【金足農連載〈14〉】準Vチームの強さは「目立ってやろう」と「考える力」だった

日刊スポーツの歴代担当記者が、金足農の思い出と魅力を語る後編です。初戦は7月8日(月)の午前10時、相手は第1シードのノースアジア大明桜に決まりました。いきなりの大一番から夏が始まります。

高校野球

張り合いがあった

鎌田直秀記者(2018年取材)

2018年(平30)の秋田大会の初戦から甲子園決勝まで、すべての試合を取材しました。

印象深いのは、選手たちのアピールですね。すぐに私の名前を覚えてくれて、球場で声をかけてくれました。

「鎌田さん、明日はどんな記事になりますか?」

「オレのコメントはいりませんか?」

取材に協力的というか、みんな「目立ってやろう」という意気込みがあふれていました。

今、コーチをしている高橋佑輔選手もいつも声をかけてくれたし、打川和輝選手、大友朝陽選手、菅原天空選手、菊地彪吾選手…

2018年8月17日、横浜戦で逆転3ランを放った高橋佑輔(右)をベンチ前で大喜びで迎える金足農ナイン

2018年8月17日、横浜戦で逆転3ランを放った高橋佑輔(右)をベンチ前で大喜びで迎える金足農ナイン

秋田大会の途中から吉田輝星投手の記事が大きくなり始めると、他の選手から「吉田ばかりじゃなくて、オレも記事にしてくださいよ」と言われました。

キャプテンの佐々木大夢選手、斎藤璃玖選手、菊地亮太選手は、ちょっと控えめだったかな。でも、カメラを向ければ、みんなVサインをしてくれる。そういう雰囲気のチームでした。

その「目立ってやろう」「ヒーローになってやろう」という気持ちは、あのチームの強さの要因だったように思います。思っているだけじゃなくて、表に出せるところも魅力でした。取材に張り合いがあったから、私も「よしっ、いい記事をかいてやろう」と思っていました。

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。