【スポーツと眼〈4〉】0・1秒で数字をいくつ覚えられるか?〝目〟の能力を測る

スポーツビジョントレーニングをする前に「目の能力」を測定します。瞬間視、周辺視、空間認知力…スポーツにとって大切な力を測り、課題を見つけるのです。健康診断などの視力検査とはまったく違うビジョン測定を紹介します。

高校野球

パーフェクトの球児も

動画に出てくる9個の数字を覚えてほしい。

ただし、数字は0.1秒しか映らない。

覚えた数字を、並んでいる順番通りに書き写し、以下の正解と照らし合わると、正解はいくつだっただろうか?

私は4つが最多だった。

多くのアスリートの目を計測してきた日本スポーツビジョン協会の事務局運営担当の山田敬生氏が言う。

「本連載にも(第3回で)取り上げられている都立新宿高は、総じて高得点でした。7、8個が多く、9個すべてを答えられた選手もいました」

これは「瞬間視」という、スポーツにおいては重要な力である。

野球であれば相手の守備や状況を判断し、サッカーやラグビーであれば、走りながら布陣を把握する能力につながる。

2016年11月15日、サッカーW杯最終予選のサウジアラビア戦で、ドリブルをしながらスペースを探す清武弘嗣

2016年11月15日、サッカーW杯最終予選のサウジアラビア戦で、ドリブルをしながらスペースを探す清武弘嗣

ほかにも、周辺の動きを把握する「周辺視」、奥行きを含めた位置を把握する「空間認知力」、見たものを運動につなげる「衝動性眼球運動能力」…

目にまつわる能力を測定することができる。

一体どんな測定なのか?

伸び悩む選手こそ

詳しく知るために、日本スポーツビジョン協会がある東京メガネ(東京・世田谷)を訪ねた。

私は54歳。中学時代から近視でコンタクトレンズとメガネを使い、40代からは老眼に悩んでいる。アスリートのモデルに適当ではないが、スポーツビジョンに対する理解を深めるため、読み進めてほしい。

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。