【金足農連載〈15〉】明桜の分まで甲子園へ ライバル対決制し決意も新たに

いよいよ夏の大会が始まりました。金足農(秋田)は初戦の2回戦で第1シードのノースアジア大明桜と対戦し、3-2で勝利をつかみました。ライバルの存在が成長の糧となりました。

高校野球

「打倒・明桜」を目標に

延長の激戦を終えると、金足農とノースアジア大明桜の選手たちは球場の正面入り口に集まった。

金足農の高橋佳佑主将(3年)は、明桜がベンチに飾るお守りを託されると、御礼を述べた後で「一緒に写真撮ろうよ」と誘った。両チームの選手たちは、互いの帽子を交換して記念写真に収まった。

長年のライバルである。ライバルとは、互いに成長できる存在といっていい。

金足農は練習場のホワイトボードに「打倒・明桜」と記し、練習がつらいときは、その文字を見て心を奮い立たせた。

高橋主将は、抽選会で「明桜の隣を引く」と宣言して、その通りにしてみせた。初戦でライバルと戦うことが、チームの力を高めると考えたからだ。

「練習の時から、ずっと明桜を基準にしてきました。このプレーで明桜に通用するのか? このバッティング練習で明桜のピッチャーを打てるのか? そう考えながら練習をしていました」

試合前に気勢を上げる金足農ナインの姿を、応援に駆けつけた生徒たちがスマホで撮影する

試合前に気勢を上げる金足農ナインの姿を、応援に駆けつけた生徒たちがスマホで撮影する

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。