【金足農連載〈18〉】初戦は西日本短大付 吉田大輝の調整法と135キロの勝負球

6年ぶり7度目の甲子園出場となる金足農(秋田)の対戦相手は、西日本短大付(福岡)に決まりました。大会3日目、順調ならば8月9日の第2試合です。7月21日の秋田大会決勝戦から中18日での試合。さて、どんな戦いになるでしょうか。

高校野球

守備力が鍵

金足農の相手は西日本短大付(福岡)に決まった。

準々決勝ではセンバツ出場の東海大福岡を7―3で破り、準決勝、決勝は接戦を制して波に乗るチームといっていい。

さて、金足農が6年ぶりの甲子園で勝ち上がっていくには守りが重要になるだろう。秋田大会では5試合で7失策を記録したが、要所で守り切っての優勝だった。大量得点を期待できる打線でもなく、まずはエース吉田大輝(2年)を中心とした守りで試合の流れをつかみたい。

その吉田は、甲子園での調整に工夫を加えている。

今年からチームと契約し、トレーニングや戦術などのアドバイスを送るベースボールコンサルタントの和田照茂氏が、秋田大会を見て吉田の特性に気付いた。

和田氏は元日本ハムのチーフトレーナーで、現在も大輝の兄、オリックス吉田輝星投手と個人契約してサポートしている。2022年に甲子園を制した仙台育英を指導したことでも知られる。

「彼は、投げてコンディションを上げていくタイプで、登板間隔が空くと状態が悪くなる。暑さや疲労を考えれば、投げすぎるわけにはいきませんから、いかに投げすぎずにコンディションを上げて初戦を迎えるかですね。できる限り投球動作に近いトレーニングを行って、ベストな状態に持っていきたい」

吉田大輝のピッチング

吉田大輝のピッチング

吉田は、秋田工と準決勝に登板せず、万全の中4日で秋田商との決勝戦に臨んだが、16安打を浴びて5点を失った。

「もちろん決勝戦の緊張感もあったでしょうが、明らかにボールが走っていませんでしたね。彼は投げると胸筋やハムストリング、尻が筋肉痛になるので、投球自体がいいトレーニングになっているんですね。投げるほどに体のバランスが良くなり、インナーマッスルが締まって状態が上がっていく。投げすぎずに、その状態に持っていくことがポイントになります」

真夏の甲子園で力を発揮するための調整法である。

また、課題も明確になった。

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。